誕生日を迎えた女の子。
父親はプレゼントを抱えて彼女の元へ急ぐ。
8歳になった電動車椅子の少女メーガンには, 時間がない。
【ポンペ病】
筋ジストロフィーの一種で, 全身の筋力が落ちてしまう難病。
歩行や自発呼吸がままならなくなり発病後の余命は長くて9年, 治療薬はこの時点でまだ開発されていなかった。
ほどなくして危篤状態に陥ったメーガンは危うく一命を取り留めるが,
一時は別れを覚悟した父親は奇跡的に持ち直してくれた娘の姿を見て, ある決意を固める。。
フォローさせてもらっている totoruruさんのレビューで観てみようと思った映画です(ありがとうございました😃)
ウォールストリート・ジャーナルの記者によるノンフィクションが原作で, そのサブタイトルは「自分の子供達を救うために, どうやって父は1億ドルの資金を集め医学的業績を達成したか」。
映画化に際して脚色がどの程度されたか分かりませんが, ヒューマンドラマに軸足を置きながらも, まるでビジネス書のサクセスストーリーの趣(おもむき)をも感じさせるところは,
スポーツドラマでありながら球団マネジメントの革新を描いたブラッド・ピット『マネー・ボール⚾』と共通する視点を感じました。
「薬の投与は一生必要で, 高い収益性が見込める」という台詞には違和感を覚えるんだけれど, 同時に莫大な研究開発費を回収しなければならない企業側の事情も垣間見せる事でこれに現実的な冷や水を浴びせるー。
命の救済を絵空事でなく冷徹なビジネスの現場を通して描く事で, 高い収益性が望めなければ開発へGoサインが出せない現実への疑問も, 映画は浮き彫りにしていきます。
ポンペ病を学術的な研究対象としか見なさない研究者ロバート(フォード)や, その論理的な突破口と収益性にのみ目の色を変える大手バイオ企業に, 如何にその重い腰を上げさすかー。
両者に, 患者とその家族の切実さを目の当たりにさせて文字通りストーリーに血を通わす, 父親ジョン(フレーザー)の圧倒的な行動力が印象的です。
子供達の愛らしさや, 時にエキセントリックに常道を逸するジョンやロバートの姿が, よくあるビジネス書の既読感とは一味も二味も違う体温の温もりを伝えるようでした。
時節柄, 私たちは1年どころか1日単位で急速に病状が進行してしまうこともあるコロナ・ウイルスに相対しているわけで, 大切な人の命を守ろうとするジョンの姿には同じ父親として勇気づけられるものがありましたねo(`^´*)o!
ストーリー上, 医学・薬学的な専門用語が飛び交う場面はなかなか理解が難しいんですけど, 何となく分かるようには(^o^;)出来てマス。
臨床試験を巡るストーリーのツイストは事実なのかな?あまりに映画的というか..., でもそれ込みで迎える“change the world”な結末にはやっぱり感動させられる, 良い映画でした。