Filmarks試写会で鑑賞。
ご招待ありがとうございました。

息子を誘拐された夫婦の姿を描くサスペンスドラマ。
賢治と妻ジェーンは息子カイとニューヨークで生活していた。
ある日、幼い息子が誘拐されとことをきっかけに口に出さずにいたお互いの本音や秘密が露呈し、夫婦間の溝が深まっていく。

鑑賞後に映画のタイトル「Dear Stranger」とはそういう意味なのかとなりました。
なかなか衝撃的なことが起こるので、この衝撃をこれから観る人にも味わってほしいのでネタバレなしでレビューを書いていきます。

全編ほぼ英語のセリフでの主演2人の演技は圧巻でした。
西島さんは所々日本語でのセリフもありました。
感情が高ぶった時などに日本語で話していた印象。

序盤の日常の風景。
幸せそうに見えるけども不穏にも見える賢治とジェーンに違和感をおぼえて、誘拐後に発覚した秘密を聞いて納得しました。
2人の乗る車が故障しているせいで運転中ずっと嫌な音が鳴っています。
この不協和音は2人の関係性を示唆しているのかなとも思いました。

賢治が建築を研究している大学の先生で、新しい建物よりも廃墟に興味を惹かれているということで彼の憩いの場、そして2人が出逢った場所として廃墟の劇場が出てくるのですが、そこの劇場がすごい雰囲気を醸し出しているので必見です。

また、ジェーンの仕事である人形劇で使用する大きい人形ビッグカイ(ポスターの真ん中にいる子)もインパクト大。
多くは語られなったけども、名前から息子を意識してジェーンが製作したのかなと思いました。
製作した人形に対して、普段自分を抑えているジェーンが思いをぶつけるようなシーンも見所です。

ラストまでの怒涛の展開、家族が崩壊していく過程の描き方、賢治の表情の変化、ジェーンが家族を再生させようとする姿。
こちらの感情も揺さぶってくるような感じがしました。

そして、最後は胸を締め付けられるような思いになりました。

西島秀俊主演『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』を初日舞台挨拶にて鑑賞。

今までの真利子哲也だと思って見たら、大間違いの作品。

ここには『ディストラクション・ベイビーズ』や『宮本』にあったような剥き出しの感情の爆発といったものはなく、あるのはうちに秘めた混沌とした感情のぶつかり合いだ。

男にも女にも言えない秘密があり、幸せになろうとするのに、その思いはぶつかり合い、すれ違う。

「バベルの塔は、聖書の物語において、人々の傲慢への戒めで、この世界に異なる言語が生まれた」

これは劇中で西島秀俊演じる大学教授のケンジが講義で言う台詞だが、この言葉が全てのメタファーとなり、ニューヨークで暮らす日本人と台湾人というstranger 同士の夫婦が、異なる言語や文化の中で、必死に幸せを求める姿を描く。

こんな鬱々としたままの真利子哲也って、見る前には想像もできなかった。『宮本から君へ』以降、アメリカでの留学経験が彼を大きく変えたな。ニューヨークで撮ってるけど、なんかヨーロッパでウケそうなアート系の作品だ。

「ディストラクション・ベイビーズ」「宮本から君へ」の真利子哲也監督、六年振りの新作はニューヨークを舞台にしたヒューマンサスペンス

仕事や家庭でぎくしゃくする夫婦に訪れる息子の失踪
捜索奮闘する中で、次第に明らかになる隠してきた本音と秘密に、さらに二人の溝の深さは深まっていく...

ニューヨークの街並み、バックに流れるジャス、異音を生じて走るマイカー
監督おハコの暴力は控えめも癖になる独特な世界観に思わず引き込まれる

明かされる秘密と本音により、次第に崩壊していく家族の姿がリアルに響いた

上映後に真利子監督と、ジェーンを演じたグイ・ルンメイの舞台挨拶あり
グイ・ルンメイの美しさに癒されました

https://youtu.be/dSHJQiGTmV0?si=OP6VFeg3AKH9Y1uw

https://youtu.be/apq1QVihOjc?si=p3mQY1N172-jv378

• #2025年AKIROCK映画館鑑賞