前作にあたる『片腕ドラゴン』も相当だったが、この作品は観客の想像の斜め上をさらに超えてくる作品になっている。だが、確実に前作よりもパワーアップしており、これまた純粋に楽しい映画になっているのだ。
前作は片腕を落とされたチェンロンの復讐劇だったが、今回は逆にチェンロンが復讐される側となる。彼を追うのは空飛ぶギロチン使いの盲目の僧。他にもムエタイ使いやヨガ使い(？)も彼を襲ってくる。もうこの時点ではちゃめちゃだが、本編はこれだけではない。更にそこに異種格闘技トーナメントが挟まり、常に誰かと誰かが闘ってる状態。ストーリーを追うつもりがあるのか心配になる
カンフーアクション自体も前作よりもクオリティが高い。カンフー以外の格闘技の描き方も大分マシになっており、スピード感や撮り方もよりアクション映画らしくなっている。戦闘における創造性も豊か(というかめちゃくちゃ)なので、飽きることなく観ることができる。
そして悪名高き主人公の卑怯っぷり。前作の1人で多数に立ち向かう姿はどこへやら。今回は大人数で1人を襲ったり、仕込み剣を用意していたり、挙げ句の果てには罠をあらかじめ仕掛けておくなど。こういうキャラ自体は別にいいのだが、前作とのギャップやジミー・ウォングの正統派主人公感が笑いを誘ってくるのだ。
突っ込みどころを探して楽しむのもアリだが、個人的には普通に映画として楽しめる作品だと思う。一つ一つの戦いに何かしらジミー・ウォングならではのアイデアが施されており、とにかく観客を楽しませようとする気概を感じられる。ラストも殴った敵が天井を突き破りそのまま棺桶にダイブインするという、最後までまで抜かりないエンターテイメント性。流石である。
フィルムの状態が悪いのが唯一残念。是非ともリマスターして綺麗な状態にして欲しい！
