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A Useful Ghost(英題)
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『A Useful Ghost(英題)』に投稿された感想・評価

4.5
【亡くなった妻は掃除機になって甦る】
動画版▼
https://m.youtube.com/watch?v=5zh7eU6wMwA&t=80s

第78回カンヌ国際映画祭の裏で開催されている批評家週間にてタレンツ・トーキョー出身監督ラチャプーン・ブンバンチャーチョークの『A Useful Ghost』がグランプリを受賞した。済東鉄腸さんが、5年ぐらい前に短編映画『赤いアニンシー; あるいはいまだに揺れるベルリンの壁をつま先で歩く』を軸に独占インタビュー記事「タイ、響き渡る本当の声~Interview with Ratchapoom Boonbunchachoke」を書いていたので興味あった監督だったのだが、まさかグランプリを獲るとは思っておらず興奮した。実際に映画を観ると滑稽な作品でありながらもコンセプトに手堅さを感じる一本であり、今後の活躍を期待したいものがあった。

とある工場で人が咳き込みながら死亡する。すると箱からガサガサ音がし、空気清浄機のようなものが踊り狂いながら語り掛けてくる。この工場ではしばしば労災で人が亡くなっているらしく、残留思念が家電や機材に憑依するのだ。ダクトのようなものからは「……シテ……コロしてくれ……」といった悲痛の叫びが聞こえてきて、銃で撃ってみたり、お坊さんを召喚して鎮圧にあたっている。

妻を粉塵中毒で失った男の前に赤い掃除機がやってくる。この掃除機は「妻」である。思わぬ再会に感極まり、ディープな肉体関係へと発展するが、家族はドン引きしており、この掃除機をどうにかしようとしている。彼女は「役に立とう」と奮闘していく中で、冷蔵庫に憑依した者と戦いを繰り広げたりする。

本作は社会システムによって殺される者のメカニズムを「家電に憑依し役立とうとする幽霊」といった形而上的アプローチで描いている。工場労働者は、歯車として会社の役に立とうとする。役に立たなければ代替はいくらでもいると切り捨てられるし、労災で死亡した者はこっそり始末される。幽霊となり転生した者は、生前、身体に染み付いた社会システムから逃れられず役に立とうと過剰に動き回る。そして役に立たない存在を倒そうと社会システムをコピーしたような振る舞いをする。本作は、そこに「悲劇を増長する場としての夢」といった概念を適用させる。掃除機が眠る者のマインドをスキャンすると、暴力や悲しみといった空間が広がっており、社会システムによる辛さが深層心理にまでおよんでいることを示唆しているのである。

だから一見、滑稽に思える本作から段々と痛ましき社会問題が見えてくるのだ。それでもって、ラストは驚くべきジャンル映画のスタイルでスカっと締める。これはA24に見つかって縮小再生産的な映画を作らせてはいけない。もっと凄い世界を魅せてくれそうだとラチャプーン・ブンバンチャーチョークへの期待が高まったのであった。