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ユースフル・ゴースト

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ユースフル・ゴーストの作品紹介

ユースフル・ゴーストのあらすじ

粉じん公害が深刻化するタイ・バンコク。最愛の妻・ナット(ダビカ・ホーン)を呼吸器疾患で亡くしたマーチ(ウィサルット・ヒンマラット)は悲嘆に暮れる⽇々を送っていた。ある⽇、ナットの魂は掃除機に宿るかたちで舞い戻り、ふたたび愛を確かめ合う⼆⼈。その頃、マーチの家族が経営する⼯場では、死亡した従業員の霊が機械に取り憑き、操業停⽌に追い込まれていた。霊に悩まされる家族や社会から拒絶されたナットは、⼯場の除霊に協⼒することで、夫への真実の愛そして⾃らの存在を“役に⽴つ幽霊”だと証明しようとするが……。

ユースフル・ゴーストの監督

ラッチャプーム・ブンバンチャーチョーク

原題
ผีใช้ได้ค่ะ/A Useful Ghost
公式サイト
https://sundae-films.com/useful-ghost/
製作年
2025年
製作国・地域
タイフランスシンガポールドイツ
上映時間
130分
ジャンル
コメディファンタジー
配給会社
SUNDAE

『ユースフル・ゴースト』に投稿された感想・評価

kuu
3.5
『ユースフル・ゴースト』
製作年 2025年。上映時間 130分。
映倫区分 R15+
製作国 タイ・フランス・シンガポール・ドイツ合作

愛する妻を亡くした男と、掃除機に宿って彼のもとへ戻った妻が繰り広げる壮大な愛と抵抗の物語を描いた、タイ発の奇想天外なホラー映画。

タイの伝統的な怪談『メー・ナーク・プラカノーン』は、死してなお夫を愛し続け現世にとどまる妻の切ない情念を描いた物語として長く親しまれてきたそうた(あくまでも伝聞)。そんな普遍的なモチーフに全く新しい視点を持ち込んだ映画『ユースフル・ゴースト』は、古典的な悲恋の骨組みを現代へ大胆に移し替え、幽霊という存在を、恐ろしい怪異とか不憫な未練から、社会システムに順応する実用的なリソースへと再定義していました。
 
今作品の独特なとこは、複数のジャンルを軽やかに横断する歪なバランス感にあるかな。
死者の執着と情愛を描く軸は紛れもなくロマンスやし、異形が佇む不穏な空気感はホラーの文脈に属してる。しかし、幽霊がまるで利便性の高いツールとして日常の隙間に馴染んでいく様はドライでシュールなコメディであり、機能性やシステムに支配される世界観はどこかディストピア的なSFの匂いさえ漂わせていた。ジャンルの境目を不敵に行き来しながら、洗練された映像と冷めたユーモアによって風変わりなリアリティが構築されてました。
 
物語を差さえてんのは、洗練されたプロダクションデザインと、感情を削ぎ落としたトーンで不条理な世界を演じ切るキャスト陣の佇まい。主演のダビカ・ホーンをはじめとするキャスト陣は、過度な恐怖演出や劇的な感情露出に頼らず、生活感と静かな虚無感が同居する演技によって、作品に独特のおかしみと不穏な深みをもたらしてたかな。
 
作中で提示されてる、タイトルにも冠された有用性(Useful)って概念をめぐるシステムの問題は、人間は生前だけでなく死後に至るまで、何らかの社会的価値や生産性を与えられなければ存在を肯定されないのかという不条理が鋭く突きつけられます。個人の純粋な愛や記憶といった感情すらも、効率を優先する現代社会の構造に組み込まれ消費されていく過程はきわめて現代的でした。個人が何を記憶し何を忘却するかという選択が、社会やイデオロギーの都合と表裏一体である背景が見えてくる。
 
不気味さと可笑しさが表裏一体となった映像の向こう側に浮かび上がるんは、現代社会における可視化されない存在とかや、有用性によってしか計られない命の価値に対する静かな風刺であると感じる。古い怪談の器を借りながらも、差し出される思考の切り口は極めて鋭利やし、観終わった後も記憶と忘却の狭間で個人の尊厳について考えさせられる作品でした。


粉じん公害が深刻化するバンコク。最愛の妻ナットを呼吸器疾患で亡くしたマーチは、悲嘆に暮れる日々を過ごしていた。そんな彼のもとにナットの魂が掃除機の姿を借りて舞い戻り、ふたりは再び愛を確かめ合う。その頃、マーチの家族が経営する工場では、死亡した従業員の霊が機械に取り憑き、操業停止を余儀なくされていた。霊に悩まされる家族や社会から拒絶されたナットは、工場の除霊に協力することで、自分が“役に立つ幽霊”であることを証明しようとする。

同じくメー・ナークの怪談を描いた「愛しのゴースト」でメー・ナーク役を務めたダビカ・ホーンが主演を務め、掃除機に宿る幽霊という難役を演じた。監督・脚本は、本作が長編デビューとなるタイの新鋭ラッチャプーム・ブンバンチャーチョーク。2025年・第78回カンヌ国際映画祭の批評家週間にてグランプリを受賞。
symax
3.6
"ある日死んだ妻が帰ってきた…掃除機の姿で…"

最愛の妻ナットを亡くしたマーチは悲観に暮れていた…だがナットは帰ってきたのだ…その姿は掃除機だが、紛れもなく妻だ…そうナットの霊が掃除機に取り憑いたのだ…

喜ぶマーチの姿を見て心配する母スマーン…何とかナットの霊をあの世へ返そうとするが、マーチとナットの愛の力は強く、上手くいかない…

その頃、スマーンが経営する電化製品の工場にも霊が取り憑いた家電が邪魔をして操業停止に追い込まれていた…困ったスマーンは一計を案じ、掃除機のナットにある相談を持ちかけると…

…なんといっていいのか…とにかく"ぶっ飛んでる"としか言えない…

ファンタジー?ラブコメ?というイメージを持っての鑑賞でしたが…ええっっ!っと桂三枝並みに椅子からズッコケそうになった怪作…

独特の間の取り方がタイ語の独特のトーンと相まって、独特の空気感を作り出していて何だか居心地がいい…家電に取り憑く霊だなんてタイなら許されそうなゆるい雰囲気…と思ったら…コレまたタイなら納得なハードゲイの世界…

なんとなく藤井隆っぽい彼となんとなく高橋一生っぽい彼が、結構ハードなラブシーンやっててねぇ…

からの…最後はゾンビ・ホラーになるという…メインはマーチとナットの愛の物語じゃなかったのねと妙に納得…色々な要素が含まれていて社会派の意味合いが強いんですね。

ナットを演じたタビカ・ホーンがめちゃめちゃ綺麗で可愛いのですが、吉川晃司並みに肩パッドが入った衣装が気になりすぎまして…そっちに目が奪われてしまう…

ひょっとするとカルト化しそうな怪作…一見の価値有りとみました。
4.7
【家具たちの静かな抵抗運動】

ラッチャプーム・ブンバンチャーチョーク監督の2025年のタイ産ファンタジー作品

〈あらすじ〉
最愛の妻ナットを亡くし、悲嘆に暮れる日々を過ごしていた夫のマーチ。ある時、そナットの魂が「掃除機」の姿となって舞い戻り、2人は奇妙な形で再び愛を確かめ合う。同じ頃、マーチの家族が経営する工場では、死亡した従業員の霊が機械に取り憑いたことで、操業停止の窮地に追い込まれていた。霊の存在を恐れる家族や社会から異分子として拒絶されてしまったナットは、工場の除霊に協力することを決意する…。

〈所感〉
珍しいタイの作品ということで、明らかに奇抜なジャケットと設定に惹かれ劇場鑑賞。冒頭のシュールな出来事や人物のやり取りから、なるほどこれは亡くなった人が機械に憑依するファンタジー・コメディなんだな!と思いきや、濃厚なロマンス、不気味なホラー展開が繰り広げられ、最後は社会派な一大事件へと繋がり、いくつものジャンルを横断するため、最後まで予測できない未体験の楽しさがある作品だった。ナットが掃除機に化けて最愛の夫マーチと絡む絵面が面白すぎて、そりゃ親族は息子が頭おかしくなったと心配するよなぁと思う。偉い坊さんがめちゃくちゃ暴言吐いてるのもタイならではの笑い。ただ、やはり風呂敷を広げすぎてしっちゃかめっちゃかになってる感は否めないし、タイはゲイ自認率が高い国とは言え、主人公らしき男が偽修理屋の前田大然似のイケメンとあそこまで執拗に絡むシーンが要るのかどうか微妙に思った。あと、ナットが急に実体を取り戻して、人間世界に干渉できるようになっていたのも流れ的になぜ?と違和感があった。とは言え本作、私が直前に見た『惑星ソラリス』とどこか通じるものがあり、目の前に生前と同じ姿があれば生きているも同然であり、時に幽霊が人間よりも人間的に映るのが印象的。幽霊は姿を現すこと自体が抵抗運動。なるほどなぁ。ウェス・アンダーソンのような無機質な演技とシュールなコメディ調子でありながら、ヨルゴス・ランティモスのような不条理な世界観や黒いユーモア、カオスが拡張する非常に独創的な作品だと思いました。好きな方は好きなはず。興味ある方はぜひお見逃し無く😄

"幽霊は存在それ自体が抗議活動"

《2026年 437本目》

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