青山

ふたりの5つの分かれ路の青山のレビュー・感想・評価

ふたりの5つの分かれ路(2004年製作の映画)
3.8

引き続き夫婦崩壊映画シリーズ。
意外とちょいちょい観てるフランソワ・オゾン監督。

ジルとマリオンの2人が離婚するところからはじまり、離婚→倦怠期→出産→結婚→出会いと、破局に至るまでの5つの風景を遡りながら切り取っていく映画です。



内容のつらさのわりに、かなり淡々としているせいで切なさとかよりも無常や諦念を強く感じる作品でした。

逆再生の構成なんですが、なぜだか映画が進むにつれて、つまりは2人の関係が遡るにつれて、より不穏さが際立っていくように見えるのが面白かったですね。
もちろん、この後破局することが分かっているから不穏に感じるのもあると思いますが、それ抜きにしてもどんどんサスペンスっぽくなっていきますからね......。
まぁ節目節目でこんな不穏なことになってるような夫婦だから終わって当然みたいにも思えますけどね。出産のシークエンスは酷かった。酷いだけに自分もああなりそうで怖かったっすね......。

結局ね、物の見方が違うと、最初はぴったり重なっていたつもりでもだんだんズレていって気が付いたらもう戻れないところまでズレきってしまっていたりするんですね。怖いなぁ怖いなぁ。
そんな2人のズレが、冒頭の離婚のシークエンスの勝ち負けの話で端的に言い表されているのもまたうまい。

そして、美しい始まりでありつつ終わりの予感を既に孕んだようなラストシーンが絵として印象に残りました。繰り返される諸行無常、蘇る性的衝動。
青山

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