青二歳

独裁者の青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

独裁者(1940年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

ついタモさん4ヶ国語麻雀を思い出しちゃうチャップリンお得意のティティナさながら意味のないドイツ語風演説コントは見所。ココがまた日本語の空耳アワー宝庫なんですよ、さらに可笑しい。
喜劇王チャップリンの熟練したコメディアンぶりは文句のつけどころがない。演説コント、地球儀ふうせんのストリップオマージュ、ブラームスの髭剃りの長回し、イタリア人との大人気ないケンカ、その他小ネタも美味しく頂きます!

ラストのど直球ファシズム批判…今聴くとちょっとコスモポリタニズムの色味が濃すぎてそこは首を傾げざるを得ない。エスペラント文字も気になる。人種差別撤廃を訴えたのは素晴らしいけど、民主主義とコスモポリタニズムが融合する理想社会はあり得ないでしょうねぇ。というか"地球市民"ほど寒々しい理想論は無い…土着の神さま…文化宗教から離れた人間って変だもん。もちろんこの演説では異教徒ユダヤ人じゃない点が多分ポイントで。日本人にはというか自分にとっては中々理解が難しいんだけど、ここユダヤ人黒人白人が並べられててまさかの人種として扱われているのですよ。宗教には触れてないんですね。
という訳で、人種差別のなくなる世界を見つめた上での演説内容だからメッセージの核は十分伝わります。特に"航空機とラジオ"のくだり、この文明批判は秀逸です。
元々ナポレオンを使って政局批判を試みていただけあって、個人的にもっとも説得力のあるのは権力と孤独の描写かと思います。地球儀と戯れた虚無、あれはなんとも言えない巧みな名場面ですね。

にしてもユダヤ人黒人白人…黄色人種が忘れられてて悲しいなー(´Д` )ショボ-ン(棒)
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