まず、冒頭で生成AIに作らせた不気味なアニメーションを展開する。YouTubeで昨年頃から観られるようになった、生成AIを用いたパロディアニメのような猥雑さが映画として提示される。次に映画監督がiPad片手にドラキュラ映画の構想を架空のソフトウェア「Dr. AI Judex 0.0」によって書かせ、その内容を実写と生成AIのアニメによって再現していく。その繋ぎとしてなのか、序盤では観光客向け風俗店のチープなドラキュラパフォーマンスが挿入されていく。ラドゥ・ジューデ監督は、従来のオリエンタリズム的文化消費と生成AIによる文化消費を等価に描くことによりその本質をアイロニカルに笑い飛ばそうとしている。ここで、重要なことがふたつある。どちらもインタビューで監督が明言していることである。