ノッチ

新・男はつらいよのノッチのレビュー・感想・評価

新・男はつらいよ(1970年製作の映画)
3.5
競馬で得た大金で、叔父夫婦を旅行に招待しようとする寅次郎。

一方、とらやに美しい幼稚園の先生が下宿することになり、彼女を見た寅次郎はまたしても一目惚れしてしまう。

『男はつらいよ』シリーズ第4弾。

山田洋次監督ではない『男はつらいよ』は、この第4弾と前作第3弾の2作品だけ。

しかしながら、俳優陣・撮影・脚本・音楽は鉄壁の布陣。

安心して観ることが出来る。

名古屋の競馬場で当たった寅さんがハワイ旅行を計画してとん挫したり、居候の女性に恋をして失恋したりする話。

あんまりロケがなく、浅草の店の中をメインにした話でスケール感があんまりなかったですが。

その分、キャラクターのドタバタで引っ張る話になっていて、今後のシリーズのお決まりのヒロインに恋をして失恋して復活するという形もできていたり、タコ社長とかの空気の読めない行動など楽しく見ることができました。

今作では人情パートよりもコメディパートの方に力を入れている。

旅行資金を持ち逃げされた寅さんが、それでも周囲に発表した手前、いまさら「旅行に行けなかった」だなんて言えやしない。

そこでこっそり家に帰って電気を消して暮らすのだが、そのわびしいことわびしいこと。
 
見栄っ張りもここまで行くと面白かったし、調子に乗りまくる泥棒キャラクターも魅力があった。

今回の寅さん観てて思ったのは、寅さんはホントにメンツを大事にする人なんだなということ。

とにかく人前ではカッコつけたい気持ち、男ならきっと誰でも共感できると思う。

で、それが悉く裏目っちゃって居たたまれなくて家出しちゃうってのがいつものパターンなんですが。

でもおいちゃんおばちゃんもそんな寅さんの心情をちゃんと理解してくれてて、寂しいんだけど敢えて素知らぬ顔で寅さんの家出を受け入れてくれるんだよね。

本作のラストで寝たふりしてる2人の前で、感謝の気持ちを吐露する寅さん観てるとホントに泣ける。

こういうぶきっちょなキャラが、寅さんが長年愛される大きな理由の1つかもしれないですね。
ノッチ

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