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文学賞殺人事件 大いなる助走のvizilakeのレビュー・感想・評価

5.0
改めて鈴木則文は天才だと確信した。。
表面的な知性をひけらかす文学の浅はかさと欲に駆られた人間の惨めさ、醜さ、情けなさをコメディタッチで描いた大傑作である。。
主人公である青年サラリーマンが書いた処女作の小説がいきなり直木賞の候補に挙げられる。。
どんな代償を払っても受賞したいと願う彼は、自分の全てを賄賂として投資する。。
そして、彼の人格は崩壊する。。
最高の破滅劇であり、痛烈に業界の批判をした過激な内容であるが鈴木則文の手にかかれば馬鹿馬鹿しく愉快な超娯楽作に仕上がる。。
配役センスやBGMの選び方が鈴木則文らしくて愉快だ。。
監督の醍醐味であるエロ要素も健在。。
文学に溺れる女子高生が官能小説の朗読するかのように御託を並べながらおっさんに犯されるシーンが何とも滑稽で面白い。。
この映画には滑稽な人間ばかりが登場する。。
いや、人間なんて滑稽な生き物なのだろう。。
【作品】と言うものは全て滑稽な生き物から生まれた滑稽なものなのかも知れない。。
そして、こんな戯言を書いている僕も滑稽な生き物なのだ。。
、、なんて少し虚しい発想になってしまう映画だ。。
しかし、例外は存在するらしい。。
『文学賞殺人事件 大いなる助走』が素晴らしすぎるからだ。。
この作品は鈴木則文の最後から2番目の監督作品である。。
生涯をかけて最高の娯楽作を生み続けた彼は紛れもなく天才である。。
希望を持とう。。
僕はこれからも例外的に素晴らしいと思える作品に出会い続けるだろう。。
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