プペ

ディセントのプペのレビュー・感想・評価

ディセント(2005年製作の映画)
3.1
光の届かぬ洞窟、いずれ尽きるであろう食料、電源。
閉じ込められる恐怖は半端じゃない。
例えるなら、地底版『ポセンドン・アドベンチャー』か。

女グループでのケイビングというのもまた珍しく、ホラーといえばお約束と化したあまり意味のないセックスシーンやお色気、男女のゴタゴタは皆無。
そこにあるのは女同士の友情と、ねっとりとした腹の探り合い…。


まず、洞窟に入るまでの不穏な空気感が見事。
なにか良くないことが後に起きることを予感させる、張り詰めた緊張感を持つ導入部で観客を一気に引き込む。
その緊張感を保ったまま、暗く狭い洞窟に入るのだから堪らない。
画面の向こう側の出来事なのに、こちらまで息苦しくなる。
閉所恐怖症の人は観ていられないだろう。
そして、中盤から怒涛の展開が待っている。
この劇的な展開を受け入れるか否かで『ディセント』の評価は大きく変わる。
本作が多くの″絶賛″を博しただけではなく、″罵倒″も受けたのはその為だ。

とにかく嫌な展開が続く構成力と、生理的な圧迫感を維持する演出力は、監督のみならず脚本も手掛けたニール・マーシャルによるもの。
『ディセント』で成功を収めた彼は、次作が最も待ち望まれている監督の一人だろう。


暗く、静かで、哀しい余韻のラストを見終わる頃には、緊張が続いたせいでぐったりしていた。
化け物との死闘と同時に描かれる人間(女)同士の関係の難しさ…。

友達がいなくてよかった、人間関係に煩わされることなく生きていけるのだから私は幸せ者だ。


エンドロールが終わり、部屋の明かりを点けてホッとしたのは久しぶりだ。
DVDで鑑賞する際には、部屋の照明を消して、暗闇の中で鑑賞することをおすすめしたい。

これが私の願いだ。
プペ

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