てるる

潜水艦イ-57降伏せずのてるるのレビュー・感想・評価

潜水艦イ-57降伏せず(1959年製作の映画)
4.0
敗戦が濃厚になった太平洋戦争末期。
日本軍潜水艦イ-57はある極秘任務を受ける。
それは少しでも有利な条件での降伏が出来るようにアメリカ人外交官をスペインに送り届けることだった。

人間魚雷・回天で始まるオープニングから分かるように、御国の為に命を懸ける潜水艦乗組員達。

そして何よりも人命が大切と説くアメリカ人外交官親娘との対比。

もちろん今だからこそ日本は間違っていたと言えるけど、誰が彼らのことを責められるだろうか。

降伏のための任務に反発する乗組員たち。
日本人が気に食わない外交官の娘。
色んな苦難を乗り越えて距離が近づいて行くのが微笑ましい。

戦争末期の悲壮感よりも、時にジョークを飛ばす乗組員達の明るさ、外交官親娘を助けようとする心意気に救われる。

それでも戦争という残酷な現実は変わらなくて。
最後まで観た後のこのタイトルは泣ける。

あの軍医の中沢中尉カッコいいなぁ。
池部良も爽やかな中にも芯の強さが垣間見える艦長役がハマってる。
三橋達也演じる艦長の右腕、志村大尉も髭面と最後のギャップが良かった。

監督が元海軍出身ということで拘り抜いた潜水艦内部や海軍の描写がリアル。

実際に海上自衛隊が協力して本物の潜水艦を使ったシーンと、かの円谷英二が担当した特撮シーンの組み合わせで1959年制作とは思えない迫力。

戦争は二度と起こしてはならないけど、今の日本が忘れつつある気概や誇りが感じられる良作。
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