潜水艦イ-57降伏せずの作品情報・感想・評価

「潜水艦イ-57降伏せず」に投稿された感想・評価

購入したDVDで鑑賞。

【あらすじ】
大戦末期、和平交渉のために某国外交官輸送の任務負った潜水艦イ-57が出航する…。

「潜水艦映画にハズレなし」
終戦の日なので戦争映画を鑑賞。フォロワーさんの企画に乗っかろうかと思ったが、今回は保留。
日本の戦争映画には珍しいフィクション作品だが、物語の舞台となる潜水艦イ-57は1942年に建造が予定(翌年中止)された幻の潜水艦伊号第57潜水艦が、某国外交官ペルジェは戦争の早期終結に尽力したカミーユ・ゴルジェ(スイス公使)がモデルと思われる。
戦争映画の問題点でもある「戦争の結果を知っているので話に入り込めない」という欠点を、戦後感覚を持った人物(ペルジェとミレーヌ嬢)を登場させることで上手く解決している。最初は勝利を確信する日本兵を見下していた二人だが、日本兵との交流を通じていくうちに「日本は戦争には負けたが彼らだけでも助けてあげたい」と思う二人の願いが胸に刺さる。
また、特撮シーンは丁寧であり、白黒作品であるにも関わらずカラーフィルムを使用することで非常に綺麗な映像になっている。監督が海軍出身なのでリアルさを追求した艦内描写も素晴らしい。
改めて戦争を考えるのに相応しい戦中、戦後の人々の思いが詰まった素晴らしい映画だった。
temmacho

temmachoの感想・評価

3.8
終戦直前。
誰もが本土決戦と思う中、和平交渉のための任務を帯びて1万マイルの果てまで潜水艦を走らせる。
敵陣の中単身で、援護も補給もない片道切符の航行だった…

『潜水艦映画にハズレ無し!』

士官から一兵卒まで勝利しか信じない日本軍人。
そんな彼らが負けを認める任務をしなくてはならない。
誰もが不服に思うが、軍人は命令が絶対。
限られた装備や空間の中で、一致団結して任務をやり遂げる。
そして最後の哀しい結末へ。

素晴らしい潜水艦シーンの特撮は、我らが《円谷英二》
一見の価値あり。
監督が元帝国海軍の陸戦隊の隊長で、出演者の多くが、従軍経験があるという、今の映画とは一味も二味も違う映画です。
内容に関しては、もう多く語られていらっしゃるので、内容以外の部分をメインに…



白黒かつ特撮映画という事で、ショボいのではないかと思う方もいらっしゃると思いますが、
ご心配無用、魚雷発射の一部のシーンを除いて
全く違和感有りません。そもそも劇中に出ている潜水艦は当時自衛隊が保有していた艦その物を使っています。(海上シーン等)

艦内も当時の史料に基づいた忠実な設計をなされており、乗組員の髪型から服装
(一部現場責任者の所為でおかしくなるところはあるか)、
喋り方や仕草(潜望鏡を腕をかけて覗くなど)に至るまで、本物に近づけています。
きっとコアな方々も楽しめるのではないでないでしょうか。
太平洋戦争敗戦が濃厚となった大日本帝国を背景に、そんな日本を救おうと奮闘する某国の外交官をスペインに送り届けるという密命を仰せつかった潜水艦イ―57乗務員の物語。
白人の外交官だけでなくその娘まで潜水艦に乗せてしまうというかなりトンデモな設定ながら、浮き足立ちつつも信頼でもって任務を続行する艦長と乗組員達の姿が勇敢かつコミカルに描かれていた。正直、お嬢さんとのファースト・インプレッション場面にはもうちょっと動揺の色が欲しかった気がしなくはないけれど、その後の事件の伏線は十分に張られていたという印象。
あえて難癖をつけるなら、外交官親娘が連合軍側の艦船に乗り移ってからのクライマックスである海戦のシーンか。数隻いた駆逐艦のどれに乗り込んだか判らなくて、河本艦長が躊躇ったり動揺したりする場面に説得力を感じずらい。親娘が収容される場面がチラッとでも映って、どれを攻撃しちゃいけないのかという事前情報が把握できていればイ―57の玉砕も素直に泣けたと思うんだけど……。
これは漢の映画
人間は生きてなんぼと思うのですが、池部良艦長以下50名は片道分の燃料かかえて敵に突っ込むのです。

このレビューはネタバレを含みます


沖縄が陥落後の1945年6月、いよいよ本土決戦の迫る中、前線で戦っていた伊57潜に和平交渉のための外交官輸送の密命が下される。

序盤、ポツダム会談に合わせて外交官を送り込み有利な状況で和平も結ぶための作戦だ、というペナン基地司令や参謀の言に対して、池部良演じる主人公の河本艦長が「和平と降伏とどう違うというのです!」と食って掛かる場面が印象的。
本土決戦、一億玉砕、軍人としての本懐といった空気の表現だろう。
今観ると狂気じみた反応だなあと思う一方で、「ここで降伏しては勝利を信じて戦死していった多くの部下や戦友が犬死にではないか」という艦長個人としての想いも分かるので、複雑なところでもある。

参謀の言う大局を見ての講和論は、論としてはありだけれど実際には遅きに失しているし、実際劇中では伊潜が目的を達する前にポツダム宣言が発表され、作戦自体が無意味になってしまう。
冒頭の回天の特攻シーンと、結末の伊潜の体当たりを構造的に対にしているのは明らかに意図的だろうと思うけど、海軍出身の松林監督がどのような想いで14年前の戦争を撮ったのかは感じたい部分かな。

降伏か戦死か、河本艦長は狂気の人とは描かれないし、むしろ紳士で理性的な人物として描かれている。
それをして、もはや実際には意味のない戦闘かもしれない、かもしれないが最期まで軍人として戦うことを選んだ姿を描いたのは、そうやって死んでいった者たちへの敬意があったのだろうか。

作品内容としては後の潜水艦映画に比べると割と淡泊な印象。
艦内のドラマを動かす要因が外交官の娘の我儘に絡んだものというのは、正直言って見ていてちょっとイライラしてしまった。
なので中盤の平田昭彦演じる軍医長が彼女を叱責するシーンで溜飲の下がる思いはするのだが、戦争映画としては戦場の緊迫感よりも彼女との軋轢の方が目立つので余計に淡泊に感じたのかもしれないね。

映像的には息苦しさを感じるほどではなかったけれど、蒸し暑そうな艦内の様子や爆雷に耐える様子などの潜水艦映画としてのフォーマットがちゃんと入っているのは良かった。
垢取り競争はちょっとびっくりw
特撮シーンとのギャップはちょっと感じるところもあるけど、場面場面で使われる本物の潜水艦映像が迫力に貢献していると思う。
モノクロ潜水艦映画。
爆雷投下のシーンは迫力があった。
潜水艦も本物を使っていて良かった。
主役の池部良が時代を感じさせない格好良さ!
男達の汗を体感できる映画だった。

一点、内容や映像は良かったけど、
台詞がとにかく聞き取りにくい。
古い作品独特の話し方なのか
早口で台詞が分からない部分が多く
そこが残念だった。
今風のオシャレ潜水艦映画と違い、潜水艦の内部も乗組員も汚い。その汚さにリアリティー感じます。ローレライのモデルとも言われている作品ですが、比べ物にならないですね。ローレライ大好きな私にここまで言わしめるとは、やはり円谷英二=神です。
ラスト近くからは日本人の魂が美しくて泣かずにはいられません。
最期まで国家に殉じるべしと戦ってきた潜水艦イ-57が、「ポツダム宣言を有利に運ぶために連合国側の外交官とその娘をカナリア諸島まで護衛せよ」との命令を受け、葛藤を抱えながらも、黙々と任務を全うしようとする乗組員達のドラマ。やがて、両者の間には信頼が芽生え、任務は無事完了したはずだったが……という物語。

国産戦争映画の大傑作。今回で2度目の鑑賞だが、その評価は変わらず。だが、初見時と今回とでは随分印象が違う。

ポツダム宣言受諾(=降伏)のお先棒を担ぐ任務に反撥を感じながらも、忠実に遂行し、そうと決めたら疑いを挟まずに全力で取り組む乗組員達の印象がまず違う。深い信頼で結ばれた人間関係は、個々のイデオロギーや哲学の違いを超越してしまうほど、崇高なる日本人的美徳であると感じたのが前回。一方、そうした個や自意識の消滅こそが、様々な局面での判断を誤らせ、結果、ファシズムを後押しし、戦争への突入を許することになったのではないか、と感じたのが今回。もちろん、いずれの印象とも、前回も今回も感じたことではあるが、どちらをより強く感じたか、という点が異なるのである。

同様に、イ-57が敵艦に囲まれるラストシーンの印象も違った。(以下、ネタバレ)

護衛してきた2人を無事送り届けた後、イ-57のもとに作戦中止の指令が遅れて届く。だが、艦長は、2人を引き渡した船以外の敵艦に対して攻撃を開始、最後は潜水艦ごと体当たりを敢行し、命を散らす。これを、戦争に殉じた(殉じざるを得なかった)者の悲劇と捉え、本作を優れた反戦映画とみなしたのが前回。一方、こうした玉砕戦法こそが、また、玉砕の命令に異を唱えられない(あるいは、喜んで玉砕を受け入れてしまう)心理状態こそが、客観的な目を曇らせ、戦争を泥沼化させていったのではないのか、と感じたのが今回である。

この印象の違いがどこから来るのかに関しては、多くを語る必要は無いだろう。戦時中に作られた国策映画とて、戦時に見れば戦意高揚として観られるものの、平和時に見れば反戦映画と受け取ることが可能なのである。作品の印象というものは、鑑賞時に鑑賞者が置かれた状況によって、大きく異なるものなのだ。逆に言えば、その作品が “どう見えたか” によって、鑑賞者自身の心理状態や鑑賞者を取り巻く社会環境を推し量ることができるのかもしれない。

自衛隊の全面協力による実物の潜水艦を使った撮影。モノクロ映画であるにも関わらず、敢えてカラーで撮影した映像素材を合成し、それをモノクロに変換することで合成の精度を上げた円谷英二の特撮。そして、池部良をはじめとするキャストの名演技。こうした諸条件に支えられて、本作には迫真のリアリティーが与えられている。だからこそ、現実同様に作品内には様々な価値が内包されることとなり、それらが時と場合によって異なる光を放つのだと思う。
潜水艦特撮が見物の特撮作品。脇役が東宝特撮のいつもの方々なので、今回も何にも考えずに観れました。外人の女性が演技が大味だったのが残念。ラストシーンも、もう少し派手でも良かったように思います。
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