スガシュウヘイ

プラトーンのスガシュウヘイのネタバレレビュー・内容・結末

プラトーン(1986年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

(2011年9月のレビュー)

ベトナム戦争による死者(1979年、米国公表のデータ)

南ベトナム政府軍 18万5000名
南ベトナム民間人 41万5000名
NLF・北政府軍 92万4000名
北ベトナム民間人  3万3000名
アメリカ軍     5万7000名
その他軍        6000名

これに+αが加わると約200万の死者が出た。
隣国のラオスやカンボジア、
また間接の死者を加えると、400万程の死者を出した。

この結果、
超大国アメリカが敗れ、
共産主義が勝った。

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言葉にすると味気ないですが、
その400万人の中にはそれぞれのドラマが
あったはずです。

映画の始まりにガートナーという
ちょっとぽっちゃりした兵士が
“彼女が待っていてくれるんだ”と、
写真を見せて語ります。

しかし、
その後すぐにガートナーは死にます。

ガートナーとはどんな人物だったのか
それ以後は映画の中にも出てこないし、
もちろん数字の中にも表れない。


自分たちが何のために
戦っているのか分からない。


ラストでC・シーンは
“これは自分との戦いだった”
というような事を言っていますが、
本来は、
北ベトナム軍および南ベトナム解放戦線との
戦いだったはず。


でも
共産主義ってそんなにダメなものですか。
自由主義ってそんなにいいですか。


しかもベトナムは、この戦争後
経済的な理由からアメリカ、韓国との
国交回復を進め、
投資の拡大を求めている。

今ではネクストイレブンとして
次代の経済成長を期待されている。

このままいけばベトナムは社会主義を放棄して、
自由経済への道を歩き始めるのは明確です。


では
この消えてしまった
400万の命は何だったのでしょうか。


バーンズ軍曹とエリアス軍曹は
何のために死んだのでしょう。


これ以上ない過酷な現実を写した本作ですが、
これは氷山の一角。
こんな事が
ベトナム全土で起こっていたのかと思うと
虚しすぎる歴史です。


そんな事を感じました。


ベトナム戦争のことばかり書きましたが、
映画としての演出も上手で
見応えありです。
ウィレム・デフォーの演技が特に素晴らしい。


ベトナム帰還兵の監督が撮った本作は
時代を超える名作だと思います。


製作:1986年(米)
監督:オリバー・ストーン
出演:チャーリー・シーン、ウィレム・デフォー、トム・べレンジャー