シンタロー

ロング・グッドバイのシンタローのレビュー・感想・評価

ロング・グッドバイ(1973年製作の映画)
3.9
レイモンド・チャンドラーの小説「長いお別れ」を、鬼才・ロバート・アルトマン監督×エリオット・グールド主演の名コンビで映画化。
私立探偵のフィリップ・マーロウは、深夜に腹を空かせた愛猫にねだられ、キャットフードを買いに行くが、翌朝友人テリーが妻を殺害後、その逃亡に加担していると疑われ、警察に拘留されてしまう。そのテリーが自殺して事件は解決したと、わけも解らぬまま釈放されるマーロウは、別件でベストセラー作家の失踪捜査の依頼を受けるのだが…。
松田優作が強く影響を受けた「探偵物語」「ヨコハマBJブルース」があまりにも有名。それくらい本作のエリオット・グールドは素晴らしすぎる!ジャン=ポール・ベルモンドの影響を感じさせる役作りですが、飄々とした気怠さ、ダサカッコイイ風貌とオーラがたまらなくて、この人にしか出せない空気感だと思います。70年代のグールドは本当に輝いてて、自分は憧れて煙草をCAMELに変えたこともあったなぁ。
代表作「MASH」同様、アルトマンらしい緩い演出、ジャジーな音楽が味わい深く、話から脱線する遊び心と、クセ強すぎな登場人物がおもしろい。お向いのヤク中露出狂な女たち、怪しげな精神病院、いきなり情婦の顔面を破壊するチンピラのボス、ボスの命令通り突然裸になりだす子分達、街中で交尾してる野良犬等々、なかなかイカれてます。そんな中、マーロウの愛猫が可愛すぎで、グールドのマーロウはこんな感じ、ってのがわかりやすく描かれるオープニングの愛猫とのやりとりは秀逸。楽器は苦手なんだと言いつつ、このエンディングもしびれる。ヒロインはパッツィ・ケンジットの偽物みたいな感じで、品も華も色気もなく残念。ちなみに子分達の中にボディビルダー時代のシュワちゃんがいたりして、ちょっとおもしろい。
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