よねっきー

ロング・グッドバイのよねっきーのレビュー・感想・評価

ロング・グッドバイ(1973年製作の映画)
4.5
こんなカッコいい映画があるせいで、映画オタクはみんな喫煙家になっていくのだ。やっぱおれが健康的な私立探偵の映画を撮るべきかもしれない。水をめちゃくちゃ飲む私立探偵とかもいた方がいいと思う。映画オタクの健康のために。

冒頭のくだりの「猫がエサ食わねえんだけど」みたいなユルさで最後まで行くのがいい。クライマックスで真相が明らかになっても「お前かい笑、ふざけんな」みたいな態度の主人公。フィリップ・マーロウという男のユルい世界観をゆったり堪能するだけの映画だ。酒飲みながら流し見でも良いし、もちろん腰据えてじっくり観ても良い。ジャズだ。映画がスウィングしてる。

ズームイン/アウトを多用する撮影がやっぱり異彩を放ってる。変な手触り。対象をガラス越しに捉えるショットもやや不自然なくらいに多く、映画の掴みどころの無さが演出されてる。どことなく気の抜けたテンションが、欠点になってないどころか美点になってる。

見てるだけで愉快な画面が多いのも非常に良かった。屈強な男たちがみんなパンイチになるところとか、包帯でぐるぐるの男に話しかけられるところとか、最後の小さなダンスとか。好きなメロディーがそこかしこに散らばってる。音楽みたいな映画だ。
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