社会主義国が全力で西部劇(と、資本主義そのもの)をおちょくったら、こうなった。
まさにそんな感じのパロディ作品。
かなり下手な英語歌唱から始まり、まるでサイレント映画のような酒場でのドタバタをまずお出しされて多少なりとも面喰らうが、フィルム着色が成されている点にも自分は驚いた。
(色はシーンごとに結構変わり、色によってはカラー映画のように見える)。
だがそんなのは話の一構成要素に過ぎず、(先述したサイレント映画のようなドタバタの流れのまま)西部劇のお決まり展開のパロディを堂々と行う。
善玉の凄腕のガンマン(で、レモネード会社のセールスマン)がいて、悪党(酒場の店主とその一味)がいる。
こう言う多面性ゼロの正義と悪をキッパリ分ける展開、如何にも西部劇を皮肉ってますって毛色が強い。
(善玉側の人間も断酒さえ広まればあとはもうマジで何でもいいって態度なので、そこら辺の笑いは結構ダークだが)。
話の締め方は大分乱暴でメチャクチャ。
当初の設定やらをガン無視するは、物理法則やら生物的な法則すらも無視してやりたい放題だったが、ここまでメチャクチャだとやっぱりすげぇやって思わざるを得ない。
(ここら辺の物理法則無視にはアニメーションに強いチェコ映画ならではの持ち味が強かった)。
某サイトにはこの映画を指して「資本主義批判だが、同時に羨望も感じる」と評していたが今回漸く鑑賞して、まさしくそうだな、と強く思った。