おなべ

シッコのおなべのレビュー・感想・評価

シッコ(2007年製作の映画)
3.8
■ 本作を初めとする《マイケル・ムーア》監督の作品の数々を観て、そのあまりの面白さに一瞬で監督のFanになった。この映画から学べるものは教養だけじゃない。是非一度観てみて、この《マイケル・ムーア》映画の色んな意味での面白さを体感して欲しい ‼︎

《マイケル・ムーア》監督と言えば米国の現行制度に鋭くメスを入れ、様々な人のインタビューや史実を基に社会派問題に切り込んだドキュメンタリーを制作する唯一無二の映画監督で有名だ。世界中を駆け巡り他国との社会制度の違いを呈しつつ、米国を痛烈に批判し、時には普通考えられないような(血圧の上がるような)アポ無し突撃インタビューを敢行する事も。

監督の一番何が凄いかと言うと、作中のユニークな演出の数々だ。社会制度に対するシリアスな問題を絶妙なセンスの比喩や皮肉表現を使って面白可笑しく取り上げている。勿論ユーモアだけでなく、狂った法案や社会制度の被害に遭った人や犠牲となった人々にしっかり寄り添い、きちんと同じ立場に立って彼らの声に耳を傾けているところが素晴らしい。それも主観的な思い込みや推測論で話さず彼に寄せられた体験談や事実を踏まえた上で、米国の愛国者として批判しているという姿勢も感心する。監督も軸がしっかりしているから、決して感情論だけで被害者に肩入れする訳ではなく、第三者として事実を踏まえつつ社会問題と向き合っている点も素晴らしい。また、映画を通して様々な教養が身につく点もかなりポイントが高い。

さて、本作は米国の健康保険制度をテーマに、現状を基に他国の医療保険制度と比較しながら現行制度を痛烈に批判しながら様々な疑問を投げ掛けている。また、それらの不平等な制度の被害に遭った人々にインタビューを行い、監督は証言者の怒りの声を届けると共に米国の健康保険制度を改善に向けて奮闘する様を描いている。
おなべ

おなべ