トランスマスター

シッコのトランスマスターのレビュー・感想・評価

シッコ(2007年製作の映画)
4.0
国民皆保険制度が無く、民間の健康保険会社に加入しているアメリカの現実を隣国のカナダや、イギリス・フランスなどの欧州諸国やキューバなどの社会主義国家の国民や病院への取材で、比較するドキュメンタリーです。

◆良い点/注目ポイント
・民間の医療保険会社もアニメ『インクレディブル』のように、あの手この手で医師も巻き込み保険金の支払いを拒む現実は、全てがビジネスになってしまう国家の悲しい現実です。
・旅行もケーブルTV放送もスポーツ観戦も全て国内で完結してしまうアメリカ人にとって映画というメディアを通して、客観的に自国の現実を知るきっかけを国民に提供するマイケル・ムーアは、真の愛国者です。

◆改善点
・アメリカより優れている医療制度の国だけではなく、もっと劣悪な制度の国も取材してアメリカのみならず、他の国の改革も同時に行えるとさらに意義のあるドキュメンタリーになります。

◆総括
・将来に渡りアメリカの中で人口比率が高まるアフリカ系や、ヒスパニック系移民の投票数を警戒している体制側が、経済的に不利な人々の人口調節をしているように思えます。その為公益な健康保険は、共産主義的な思想という、イメージ戦略を駆使してロビイストの意図するままに法案が動いていく国家の恐ろしさを感じました。