BOB

鉄道員のBOBのレビュー・感想・評価

鉄道員(1956年製作の映画)
3.8
戦後イタリアを生きる鉄道員一家の姿を幼い少年視点から描いた、ピエトロ・ジェルミ監督の代表作。

"Buon Natale !" "Arrivederci"

これぞイタリアネオレアリズモ映画!と叫びたくなる家族ドラマ。父親と彼を慕う息子のドラマは『自転車泥棒』を想わせる。家族の崩壊と再生を描いたドラマとしても、少年の成長ドラマとしても胸にこみ上げてくるものがあった。

30年間鉄道員一筋の厳格だが情に厚い父親。優しく献身的な母親。定職に就かず、遊び暮らしている長男。意図せぬ妊娠により結婚を強いられる長女。父親を誇りに思っている歳の離れた末っ子。

「ぼくも大人になれば分かるって。でも今分かりたいんだ。教えて。」
嘘と方便。大人の"複雑な"世界を必死に理解しようとするサンドロ。告げ口は絶対にしたくないと、大人たちと交わした"言わない約束"を健気に守り続けていたが、限界を迎える。子供の純真さ正直さがバラバラになった家族を1つにしていくのが感動的だ。

サンドロがとにかく可愛い。ふくよかで、目がパッチリしていて、愛さずにはいられない。

美しく哀しいテーマ曲。酒場で人々が歌う歌。どの歌もエモーショナル。

クリスマスからクリスマスまでのある家族を追った1年間の物語。『素晴らしき哉、人生!』を想わせるカトリック的な大円団を迎える。クリスマスは家族で。クリスマスには誰にも等しく幸せが訪れる。

イタリア国鉄。機関車から電車への移行期。電車視点のPOV映像が興味深い。衝突未遂シーンは、家族がすれ違っていくことの暗示か。ストライキに身を投じるも、意見を聞き入れて貰えずスト破りに転じる。

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