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スターリングラードのKHのレビュー・感想・評価

スターリングラード(2000年製作の映画)
3.4
年間ノルマ60本中17作品目、スターリングラード。見させていただきました。
前に見た『1917』より、かつてあった大戦に関して個人的に勉強し、実際の対戦に発展した流れなんかを踏襲しつつ、映画によりこれを補完していく作業に最近専らハマっております。
今作は1942年、ヒトラー率いるドイツ軍によるソビエト連邦侵攻によるスターリングラードの激戦を描きつつも、実在したヴァシリ・ザイツェフをモデルに描かれたフィクションである。
第二次世界大戦においてドイツ軍のロシア侵攻の意図は、ロシアを落とすことによる物資や資源、燃料の確保であり、当時イケイケのドイツ軍の電撃戦法に翻弄されるも、
ロシア軍は兎に角耐え忍ぶ戦いにより戦場には厳しい冬が到来し、極寒での戦闘を想定してなかったドイツ軍はとうとうロシアを陥落させられずに引き上げたと言うのが一般的な史実である。

というわけで、まずはネタバレなしの率直な感想をば、述べさせていただきます。


『狙撃兵同士の対決がメインなので、実際の戦場の過酷さなどあまり伝わりづらかったが、それでも良作と言えます。普通に面白かったです。』


ということで、ここからはまぁ少しネタバレを含むので、まだ見てない方はここいらで戻っていただくとして、


スターリングラードはロシアの西、現在のヴォルゴグラードに位置しております。名前は当然ヨシフスターリンにちなんで付けられたが、このスターリングラードはドイツ軍の猛攻を半年間に渡り耐え忍び、結果として勝利をもたらしたことにより『英雄の地』とされてます。

ウラルの羊飼いで、幼少期より祖父に狼を撃つことを仕込まれたヴァシリは、赤軍に身を置くも、一兵卒ではないので当時銃も与えられずに弾丸のみ渡されるところから物語が始まる。

ドイツ軍による侵攻で敗走するソ連軍だったが将校ダニロフと共に死体の中に紛れてこれをやり過ごす。
そこで、ドイツの将校連中が倒壊した家屋で寛ぐ姿を目撃し、これを狙撃しようと試みるがダニロフは実戦経験が乏しい上に、銃に弾が込められてもいないのに引き金を引いてしまう未熟さ。
そこでヴァシリは砲弾の音に紛れて狙撃を敢行し、その見事な腕によりドイツ将校を殺害することに成功。
ダニロフとは親友となる。

そこからヴァシリはドイツ軍を次々に狙撃し、ソ連軍に勝利をもたらす英雄として持ち上げられる。多分自軍の士気を上げるために利用されてる部分もあるが、
これによりドイツ軍はヴァシリを撃つためにこれまた優秀な狙撃兵のケーニッヒを召喚する。
かつてケーニッヒの生徒だったクリコフを伴い彼を狙撃しようと作戦を立てるも、
逆に罠に嵌められ、クリコフを失う。
ヴァシリは動揺するが、これを支えたのが女兵士のターニャ。
しかし、このターニャの存在で親友ダニロフとの間に軋轢が生まれる。また、友人となった少年サーシャが実はケーニッヒとの間のスパイとして利用されたことや、自身の英雄譚が一人歩きしていること、また家族をソ連軍に殺されたことの報復を目論むケーニッヒと、戦況は激化していく。
ここら辺の展開は実にうまく、見てる側ももうそろそろクライマックスかと緊張感も増していく。

とうとうケーニッヒ少佐との最終決戦の場、
スパイであるサーシャを囮にヴァシリを誘き寄せ、一騎討ちとなるが、ターニャはダニロフに家族を避難させてくれと頼むが、その道中砲撃にあい吹き飛ばされる。
横たわるターニャを見て自分が犯した行動を後悔するダニロフは囮になろうとヴァシリの元を訪れる。ヴァシリの制止を振り切って、狙撃されたダニロフ。ケーニッヒは撃った人物がヴァシリか確認するために姿を表したところをヴァシリに撃たれる。

ドイツ軍の撤退により勝利となったスターリングラードの軍病院に入院しているターニャを見つけるところでエンディングである。

ストーリーとしては非常にわかりやすく、ラストも納得いくものでした。
戦争映画で僕が見たいものは事実に基づいた戦場のリアルなディテールなので、冒頭のシーン以外はそれが少し少なくてちょっと物足りなさはありましたが、それでも十分良作と言える作品でした。

狙撃という行為自体が、『撃つのを待つ』ことを前提としているため、戦闘シーンは少し間延びしている印象でしたが、
それでもヴァシリは200人以上のドイツ軍を狙撃しており、その腕はかなりのものだったそうです。
またこのスターリングラードの攻防戦に関しては多くの映画が作られており、よっぽどシンドい戦いだったんだろうなということが窺える。
機会があればその辺も見つつ、今度は逆にドイツ軍側の映画も見たいです。ヒトラーモノとかも多いですし、
ぶっちゃけその辺全然見てないんですよね。理解できないと思ってたので、今では少し世界史を勉強してるので多少はわかってる部分があるので、
その辺をこの先どんどん補完できればなと思います。

おすすめです。
KH

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