トムヤムクン

復讐者に憐れみをのトムヤムクンのレビュー・感想・評価

復讐者に憐れみを(2002年製作の映画)
4.5
『お嬢さん』が良かったので、パク・チャヌク監督にしばらく浸ってみようと思います。「復讐三部作」の第1作にあたる本作、名前に負けないズッシリとして底冷えするような情念を感じさせます。そして復讐という基本的なストーリーに負けない映像に対する美学的な拘りも感じさせます。ソン・ガンホ扮するパク社長に嘆願した元社員の家族があばら家で死んでいるシーン、静的なカットが続きながら扇風機は回り続けている… このカットが物凄くいい。ハネケ的なものを感じます。
二人の主人公はどちらもが復讐者な訳ですが、個人的な怨恨を超えて、復讐という行動に至らざるを得ないような社会の構造があるように思われます。パク社長が、かすかに息のある少年を連れて病院へと駆けていくシーン、高いアングルから撮られた貧者たちの巣窟。これが韓国の新自由主義のひとつの帰結なのでしょう(他人事ではありませんが)。
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