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美しき結婚のmajiziのレビュー・感想・評価

美しき結婚(1981年製作の映画)
4.0
ちょっとこれ、めちゃくちゃ面白い作品でしたよ〜!

主人公サビーヌの夢見る夢子、妄想暴走ストーリー。超絶痛々しい。

美大生のサビーヌはなんかパッとしない毎日。
会えばセックスか喧嘩しかしない彼氏(彼氏というか相手は既婚者で不倫)
大して興味のない骨董屋でのバイト
実家住まいで部屋も気に入らない

一方、美人な親友クラリスは実家も裕福で夫は医者、なんかクリエイティブなことを趣味にして自由で楽しそう。
サビーヌが彼氏と別れると話すと、彼女は弁護士のエドモンを紹介するという。
しかも彼はサビーヌのことタイプだと思うわ〜なんてクラリスは言っちゃう。
その気になってサビーヌはエドモンと結婚を勝手に決意して暴走するというストーリー。

ここまでみてるとサビーヌ痛い、かなりやばいって感じ…

だ!け!れ!ど!も!

このパッとしない日々を魔法のように転換させる方法があるとするなら、環境の大変化で、それには女子にとって結婚という二文字には魅力がありすぎるんだな〜
わかるわ〜それは幻想なんだけど。笑

この作品はエリック・ロメールの喜劇と格言劇というシリーズの2作目で、作品の最初にその格言が出てくるのですが

「夢想にふけらない人がいようか、空想を描かない者があろうか」
ラ・フォンテーヌ

なんですね。

多かれ少なかれ、みんな憧れの人との幸せストーリーを妄想することあると思うんですよ。
まあそれを相手の気持ちなんかを全て無視して実行してしまうかは別だけど、恋愛においては人間、愚かになっちまうもんです。

ここでは常識の範囲を超えてしまうサビーヌの行動を、思いっきり喜劇にしてるセンスが素晴らしかったです。

サビーヌはエドモンを男性としても人間的にも好きっていう感情が全然感じられなくて、とにかくこいつと結婚したら人生大逆転や!みたいな目でしかみてない猪突猛進、しかもなぜか自信満々なのがまた可笑しい。

これはクラリスもちょっと悪いと思うぞ!
まだ二人を会わせる前から勝手にエドモンの気持ちをエスパーして(単なる憶測)サビーヌをその気にさせちゃう。

これさ〜学生の頃とか女子よくやるよね?

「◯◯君、絶対あなたのこと好きだよ」とか。
それが周りにいる女子グループ2、3人が同じ意見なら、言われた子にとってはそれはもう事実になるから、本心でそう思ってても、ご機嫌取りでも、はたまた陥れるつもりで言っててもとにかく大惨事に繋がりかねんから今すぐやめるのだ!


それからエドモンの態度でサビーヌも脈ありかどうか勘づきそうなのに、暴走中なので一切無視。エドモンもなかなか腐った奴でなんやねんお前っていう感じなのがまた笑えます。


最後は憑き物が落ちたかのようなサビーヌの表情と、次への布石を匂わすおしゃれな終わり方でした。題名までなんだか皮肉っぽくって最高。
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