美しき結婚の作品情報・感想・評価

「美しき結婚」に投稿された感想・評価

堊

堊の感想・評価

4.6
25歳の美術史を学ぶ院生(あと6週間で修士論文を書かなければならない)って俺やんけ。「本当の愛が欲しい」ね…。「死にたくないけど誰よりも早く死にたい」ね…。
平凡な人たちを嫌悪したいけれど、自分が非凡である線引きなんて自分にはできなくて、自分じゃない誰かを求めるけれども愛されるはずもなく、知らないババアにぶつかってしまう。
砂糖を手で転がしながら腕をかきむしったり、人の長い話が聞けなかったり、自分で人と話しながら視線がさまよったり…そんな主人公のADHD仕草ひとつひとつのリアリティがすごくて、それはどこまでも嫌悪したい造形なのだけれど主人公と「同じく」自分自身と線引きができないから、何もかも忘れたい(けれどもちろん忘れられない)。このオチのつかなさ、藤子Aの『今日までそして明日から』にも似た蟻地獄のような(でも誰かの目には希望のように映ってしまう)ラストこそがなんとなく心地いい。「やわらかい地獄って天国にも似てるよね」。スクリーンに穿られた緑の鼻クソを見たぐらいで変わってしまう人生よりも、同じ失敗を同じように、違う場所でまたふたたび行うことを予見させるこの作品のラストの方が愛らしい。ブサイクなテクノも悪くないと思ってしまうよ。
あや

あやの感想・評価

3.9
サビーヌは不倫相手のシモンとの関係を清算し、同じ店で働く友人から従兄弟で弁護士のエドモンを紹介してもらう。


とにかくサビーヌがイタい。
デートしても自分のことしか話さないし、自分の誕生パーティーではエドモンがなかなか来ないことに苛立ちヒステリーを起こす。誕生日ケーキのろうそくの数が気に入らなくてブチブチケーキから抜くところが笑えてしまう(笑)
「わたしは結婚しても主婦として家を守りながら自分の好きな創作活動をして暮らすの。」と元彼に話す。その"いつか"自分は夢を叶える、と信じているだけで行動に移さないところが自分と重なるところもあり、しんどい思いで観たと同時にサビーヌに愛しさが湧いた。

すっぱい葡萄的にあとから友人に愚痴るサビーヌの暴走っぷりは嫌いじゃない。
ラストの新しい恋を予感させる終わり方も好き。

○部屋でぎゅうぎゅうになってちょいダサなテクノを踊るシーンは「満月の夜」っぽい
菩薩

菩薩の感想・評価

4.0
まず前提としてこの作品は美しくも無いし結婚も出来ないので「美しき結婚」では無く、タイトルそれ自体が完全に皮肉になっていると言う事実をお伝えせねばならない、なんなのロメール!性格悪い!おそらくロメールの作品の中では『緑の光線』と並び評されるべき「アイタタ女子」ムービー、相手もいない癖に「わし、結婚するで。しかも玉の輿やで。」と高らかに宣言しちゃったもんだから、もう超絶肉食婚活女子のエンジンはフルスロットル、ブレーキなど早々に吹っ飛びこの暴走特急は猪突猛進を続ける。その結果なんてのはもう…言うまでも無いな、機を急けば逃す、それが世の理である。だが彼女の気持ちは俺も痛いほど分かる、なんせ俺は相手もいないのに既に孫の顔が見たくてしょうがないからな、痛さで言えば俺の方が遥かに上としか言いようがない。彼女の側にはまさに彼女の理想の人生をこれでもかと体現している親友が一人、つかそもそもの元凶はこいつなのだが、あんな「幸福」を見せつけられちゃ、そりゃ己が火室にガッシガッシと石炭を焚べにゃ気が済まなくもなる。体を許せばセフレで落ち着き、許さねば「付き合う」との既成事実すら構築出来ず、哀れよのぉサビーヌ…と言ってやりたいところだが、まぁ…一回落ち着こうよ…ねっ…一回自分の状況客観視して待つもの待たないと…王子様なんて絶対に来ないからね…。にしたって彼女に散々追いかけ回されるエドモンはいい迷惑を被ったろうけど、弁護士と言う職業柄、理路整然かつ沈着冷静になんとかこれ以上火に油を注がないようにとサビーヌを突き放しに掛かる辺りこいつは相当手練れの策士だと思うし、その後のサビーヌの開き直りっぷりには流石の大爆笑。なんで女の人って別れた後自分が好きだった人の悪口ベラベラベラベラ言うんですか…?なんて疑問はそっと胸にしまって置こうと思う。OP・ED、そしてダンスシーンに流れる音楽がコスミック・インベンション並みにペッコペコのテクノサウンドで肩の力抜ける辺りもいい。結婚はお互いが得意な分野を分かち合って生活を構築していく共同作業です、と言うわけで俺は排水溝掃除とかトイレ掃除とか害虫駆除とか得意なので、だれか今すぐ婚姻届に判を押してください、とりあえず孫だけ…どうか孫の顔だけ見せてくれ…俺にはもう…時間が無い…(四十肩だし白髪増えたしハゲて来たのです)。
めちゃくちゃ耳に残るだっせえテクノに机上の空論で全てを語る自分勝手すぎる女。この2つだけでもやっぱりロメールは最高ってなった。主人公は本当にイタい奴だけど、全く嫌いにならない所にロメールの凄さを感じた。パーティ会場にいただっせえテクノで踊る青いTシャツにオーバーオールの男が無駄に印象に残る。俺もああいう奴になりたい。
acchi

acchiの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

まだ相手すらいないし付き合ってもいない相手なのに「私、結婚するの」と周りに言いふらして、あんだけ相手に夢中になっといてフラれたら「私のタイプじゃなかった」とか。めっちゃ結婚したいのに「私から結婚せがむのはいや、相手からじゃないと」とか。サビーヌ!
本当にロメールは最高。秋が舞台でピンクやオレンジといった暖色の画面作りや、主人公のどうしようもないイタさが愛おしい。最後のくだりも、今聴くとちょっとダサいテクノも愛しい。
オープニングのチキチキ音が面白かった。
せっかちで子供っぽいヒロインが、相手もいないのに結婚する!と宣言したり、ヒスを起こす暴走っぷりが痛々しい。
フランス人は恋愛について、よく語る。それだけ確固たる持論があるのが凄い。
ダンスシーンは『満月の夜』、ヒロインは『緑の光線』に少し似てるかな。
『海辺のポーリーヌ』のエロ親父も出てきて、ロメール女優勢揃いで、なんかいい。
7子

7子の感想・評価

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戦争の開始と終結ってワードが強すぎて笑う。最後はお手上げ🤷‍♀️
ロメール映画の主人公女は大体わがままな女だけど、今のところわがまま度ナンバーワンですね。気が狂ってんじゃないかってくらい。きつかったな〜
若い時って、色んな思い違いや恥ずかしい事を経験するものだ。あぁぁ…と、彼女が痛々しいと同時に自分も痛い笑

サビーヌ(ベアトリス・ロマン)が玉の輿願望を募らせて空回りするという悲喜劇。
じつは本作は初見の時あまり好きになれなかった。結婚願望というテーマがダイレクトすぎて生々しく感じられてしまったし、自分を客観視できない彼女を気恥ずかしく没個性的に感じてしまったせいもある。

思い込んで先走りしてしまう彼女の痛々しさをチャーミングだなぁと思えるようになったのは、その後数年経ってから。そして彼女に対する周りの反応の面白さもじんわりしみてきて、自分の中で熟成された。愛すべき作品と今は思っている。

「喜劇と格言劇」第2弾。
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