このレビューはネタバレを含みます
「うなぎ」のように、捉えどころのない作品。なぜなら途中で変なセリフがはいるから。
「ひょっとしたら、、
手紙なんか最初っからなかったんじゃないのか?」
え? どういうこと?
あの手紙は、役所広司が妻を殺す動機だ。それが最初からない?
そもそも、この台詞はどういう意図をもって発せられたんだ?
これ、ミステリーじゃなくて人間ドラマなんだけど。なんで、わざわざ変な謎を作るんだ?
終盤で柄本明の幻影が、また言う。
「手紙なんか最初からなかった!お前の嫉妬が生んだ妄想なんだ!はーはっはっ!」
結局、謎は明かされぬまま。
どこからどこまでが妄想なんだか。
しかし、もし本当に最初から手紙がないとすれば、役所広司演じる山下という男のキャラクターはだいぶ変わる。これでは、ただのイカれた凶悪犯だ。
山下よ。
お前は、ただの「うなぎ」ではないかもしれないぞ。
ひょっとしたら、また殺しちゃうかもな、、。
よく分からない含みを持たせた作品だった。
公開:1997年
監督:今村昌平(『楢山節考』『復讐するは我にあり』『黒い雨』)
出演:役所広司、清水美砂、柄本明
受賞:カンヌ国際映画祭パルム・ドール、キネマ旬報ベストテン第1位ほか。