まいとん

妖刀物語 花の吉原百人斬りのまいとんのレビュー・感想・評価

4.5
傑作である

精緻に組み立てられた隙のない脚本
見事な美術
的確な演出
魅力的な役者
本当に素晴らしいし面白すぎる
岡場所上がりの遊女水谷八重はいい感じにブサイクで憎たらしくこちらの怒りが増す
適役である

遊女の風俗が緻密に描かれており吉原に足を踏み入れたかのような気分になってしまうとともに
次郎左衛門千恵蔵も誠実な商売人としての顔と、遊女に入れ込んでしまう弱い心の顔が見事に描き分けられており物語に没入してしまう
クラブやホストの文化は吉原に遊里遊廓に直結している
入れあげてしまう人には深く刺さるだろう
周りにバカにされた反発心からくる女の必死な出世欲と
捨て子ゆえの誠実さと優しさと心の深いところの弱さ
化け物大尽と陰で言われている次郎左衛門は私であり貴方だ
痣は誰にでもあるコンプレックスのメタファーに昇華している
狂ったように刀を振るって斬りつけまくるラストは撮影も最高で劇的な瞬間になっている
太夫の披露目道中は吉原炎上とかではなくこの作品を見てもらいたい
時代劇の頂点のひとつである