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細雪 ささめゆきのbeachboss114のレビュー・感想・評価

細雪 ささめゆき(1983年製作の映画)
4.0
ゲスい話をひたすら格調高く。本来なら、いつ寝落ちしてもおかしくないようなヨソん家のクソどーでもいい内輪話を最後まで飽きずに見させてしまう力量に畏れ入る。

これと言ったヤマがあるわけでもなく、何となくダラダラと流れていくだけのスケッチなので、どこにフォーカスして見るかは人それぞれ自由だが、「控えめで頑固な三女がお見合いを成功させるまでの地味なサクセスストーリー」だと捉えれば、長女と次女の「あの人、よう粘らはったなぁ」の一言でカタルシスが得られる。

そして、最後の最後、ドスケベ石坂浩二の独り泣きにもらい泣き。おいしい見せ場、全部持っていきやがって。

公開当時は最先端と和の融合がさぞかし斬新だったに違いない劇伴も、今やヴァンゲリスにしか聞こえなくて、ヴウィ~ンって響きがブレードランナーなんだけど、とにかく、ため息つくような画の連続に圧倒される。日本に生まれて、日本で育って良かったと心底思える至福のひととき。

それだけに、時折、スポンサー向けのサービスカットが入ると興が削がれるが(「白雪」のロゴとか目を向いててドン引き)。あんさん、もともとセンスよろしいんやさかい、もうちょっと上手いことやりなはれ。
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