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不思議の世界絵図のKSatのレビュー・感想・評価

不思議の世界絵図(1997年製作の映画)
3.9
初スロバキア映画。

ひとことでいうと寄宿学校を追い出された少女が母親を探す噺。主人公の、子供とも大人とも女の子とも男の子ともつかないけど、どこかなまめかしい雰囲気が良い。きっと苦労して探したのだろう。


物語にはあらゆる種類の変な人たちが次から次へと現れ、そして、一度出てきた人は二度と出てこない。

しかし、何やら怪しいマフィアなんだか政治家なんだかわからない連中や運び屋と思しきおっさん、戦争の追憶に浸りながら地面に埋まるおばあさん、国を出ようとしているスター歌手の夫婦、そして最後に出てくる母親の姿を見ると、単なるファンタジー映画ではない気もする。

チェコスロバキアが分離してまだ数年の混乱したスロバキア社会を反映しているのかもしれない。

しかし、そういった考察すらバカバカしくなるようなシュールな場面が一この映画の大半を占める。我々は、そういった場面が一切の説明なく数珠繋ぎに展開されるのを見守るしかないのだが、いつの間にかやるせなくて八方塞がりな結末を迎えることになるのだ。

.....マジ、この映画はどの層に向けた映画なの?子供向けにしてはえっちで暗いし、大人向けにしては児童文学感強すぎるし、どういうコンセプトで企画されたの?その辺からして存在理由が本当に謎だけど、それも含めて不思議な映画だった。
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