佐藤克巳

太平洋の翼の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

太平洋の翼(1963年製作の映画)
5.0
加山雄三、夏木陽介、佐藤允を隊長とする海軍精鋭の紫電改戦闘機部隊の結成から崩壊迄を、円谷英二特技監督の精密で立体感溢れる特殊効果の威力満点の太平洋戦争映画の傑作である。ラバウルの佐藤の一隊はまるで「独立愚連隊」を彷彿とさせる趣きと明るさが前半の醍醐味。軍令部宮口精二等の本土防衛特攻作戦と並行して、三船敏郎の制空権挽回の任務優先策が後半の主題となるが、佐藤が述べた様に早いか遅いかの話だった気がする。なお海軍出身の松林宗恵監督は、流石に大和沈没を描くに忍びなかったのであろうし、無残に戦死した弟を悼む星由里子の涙や、加山の「日本に来るな!」と絶叫しながら特攻を仕掛けた無念さに真骨頂があった無常感ある作品に仕上げた力量は素晴らしい。
佐藤克巳

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