ちゅう

レイジング・ブルのちゅうのレビュー・感想・評価

レイジング・ブル(1980年製作の映画)
4.1
これは弱い男の話だ。

どれだけボクシングで強かろうと、弱い男だ。


この映画は男の弱さの核みたいなものを突きつけてくる。
自分の中の人としてちっちゃくて弱い部分が刺激されて、むくむくと意識の水面に浮上してくる。
そして大なり小なりお前もこうなんだよと胸ぐらをつかんでくる。


タクシードライバーを観た時に解説を読んだ。マーティンスコセッシはとても嫉妬深い男だという。
その嫉妬深さがジェイクラモッタの行動として物語を支配している。
終わりのない不安が全てをぶち壊していく。
それがボクシングで相手を叩きのめすシーンと重なって見えていく。


いくら頑張っても癒やされることのないコンプレックス。
そのコンプレックスのおかげでボクシングに打ち込めるのだけど、コンプレックスのせいで人を遠ざけてしまう。
全然幸せそうじゃない。

心の問題を解消しないと幸せは訪れない。
そんなことをこの映画が描いてるかどうかはわからないけれど、そういうメッセージを受けとってしまった。



余談
早稲田松竹からの帰り道、高田馬場駅前で街頭アンケートをやっていた。
内容としては外国に比べ日本の大学の学費が高いことをどう思うかと問うもので、早稲田大学の受験生を対象に行なってるものみたいだ。
そこで受験生ですかと声をかけられたんだけど、そんなわけないでしょうと思った反面、若く見られて内心にやにやしてしまった。
こんな映画を観た後だからだと思うけど、いい年した男がおそろしいぐらい若く見られて喜んでるのって若干病んでるのではないかと思って、少し落ち込んでしまいました💦笑
ちゅう

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