まいとん

レイジング・ブルのまいとんのレビュー・感想・評価

レイジング・ブル(1980年製作の映画)
3.5
この映画はとてもヒットしたし、よく知られた作品ですが非常に分かりにくい作品です

とりわけ不思議なのがボクサーを引退した後のコメディアンになってからのパートです
これが意外に長く、また何を言いたいのがよく分からないのです
彼は結局転落したのでしょうか…
ただのボクシング映画ではないのです
むしろアンチボクシング映画にさえ見えます

最後に急に映画波止場の引用が出てきます
兄貴に八百長を強いられてボクサー人生が狂ってしまった。運命が変わってしまった。
その後に、俺がボスだ!俺がボスだ!と言ってさらに聖書の引用が出てきます

非常に分かりにくくどう受けとったらいいのか…
ボクシングチャンピオンでも無くなり
家族を疑い暴力を振い一人きりになり
未成年者を雇い捕まってしまう
最終的には酷い転落人生なのですが、コメディアンとして再出発する楽屋で自分を奮い立たせるようなラストに見えます
今は見えているという聖書の言葉はそのままの意味でしょうか
真意は分からないのですが、今は見えている、これからまた頑張る、という風に取るのが素直な解釈かもしれません

妻や弟に振るった暴力は許されるものではないでしょうが、間違いを犯した人間は赦されるのかといった問題はスコセッシが生涯をかけて取り組んでいるテーマです
この作品もそういう話なのかもしれません