真田ピロシキ

ニュースの天才の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

ニュースの天才(2003年製作の映画)
3.5
昨今流行りのフェイクニュースを先取りしている。タイトルで天才とまで呼ばれてるのだからさぞかし巧妙な嘘をつくのかと思いきや、偽装工作は笑えそうなほどのお粗末さ。これで人をしかもインテリ層までを騙せるのかと思う。しかし重要なのは書き手が人好きのする好青年で、捏造がバレた後でも「こういうミスもあるさ」と庇いたくなるところ。書かれた内容よりも先に書き手の人柄から先入観を持つのは往々にある。捏造者はそれを熟知しているし、またどういう内容が喜ばれるのかもよく分かっている。「人々が感動する話、怖がる話を書けば良い。」今のフェイクニュースもそんな感じで人の感情に信じたい話を訴える。ネットのどこの誰だか分からない有象無象が書いてる分にはまだ疑えるが、本作のように立派な肩書きと人柄でデマを平気でばら撒かれたら騙されない自信があるだろうか?10年以上前の本作は現代への警鐘を鳴らしている。

2003年の映画にしてはやや映像のトーンが古く感じて90年代の映画に見えるのは舞台となった1998年を忠実に表現しているからか。トム・クルーズが製作総指揮に名を連ねていて若かったらトム本人が主演を務めていたと思う。主役のヘイデン・クリステンセンは特別上手いとは思わなかったが、アナキンをやらなければこういう面白い役をもっと演じられていただろう。アナキンがなければ有名にはなれなかったかもしれないが、アナキンのせいで役者としての前進を阻害されてて難しいところ。SWEP2〜3が映画としてはあまり評価が高くはないので余計に。