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めしのペインのレビュー・感想・評価

めし(1951年製作の映画)
4.7
エドワード・ヤン、ホウ・シャオシェン、是枝裕和、黒沢清、濱口竜介、レオス・カラックス…等々、名だたる世界の映画人に強い影響を与え続けている成瀬巳喜男。

ただ日本三大巨匠である黒澤、小津、溝口のお三方に比べると存在感は薄い印象。まぁでもそれも納得というか、作風が一見地味めで、ものすごく庶民的なんですよね。

黒沢清監督はかつて、小津映画を“日本的”と評されると腹が立つと言っていましたが仰る通りで、小津はけっこうドラッギーな画作りをする人で、黒沢清監督曰く小津は初期の白黒作品もカラーにすると実はハリウッド映画ばりにけばけばしくなるとのこと。その意味でも一番“日本的”なのは成瀬なのかなと。是枝監督なんかはたしかに小津的要素もあるにはありますが、実は成瀬により近いと思う。

そんな本作、まず“めし”というタイトルが秀逸。本編を観ればなぜ“めし”なのかしっくりくるのではないでしょうか。内容的にはものすごくほっこりする倦怠夫婦ものという感じ。女の本当の幸せとは何なのかを問うた本作。『乱れ雲』の艶っぽさ、『乱れる』の圧倒的名作ぶりには1歩及ばぬまでも、大傑作です。
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