YasuhitoArai

手をつなぐ子等のYasuhitoAraiのレビュー・感想・評価

手をつなぐ子等(1948年製作の映画)
4.6
稲垣浩監督作品。
伊丹万作脚本。宮川一夫撮影。
知的障害児である中山寛太は、小学校の普通教育についていけず転校を繰り返していたが、笠智衆演じる松村訓導のクラスに入り、学校が楽しいものとなっていく・・・という話。

大映作品であるのに、全体的に明るくにこにこしながら見れた。全体的に明るいけれども、締めるところは締めていて、その締めたところの緊張感も上手くいっていた。
子ども達のやり取り、表情が豊か。知的障害児である中山寛太役の子どものなんとも愛嬌があり、ドジッけがある表情が良かった。そして途中で出てくるガキ大将の山田金三の存在。声がまさにガキ大将。寛太に意地悪をするが、知的障害の関係で悪意というものが存在しない寛太に影響されて、金三が変わっていくというのが面白い。寛太を支える少年の奥村健二を子ども時代の長門裕之が演じていたというのが、後になって分かってびっくりした。

笠智衆と杉村春子が共に若い。
笠智衆が老け役でなく、若い先生で、子ども達の指揮官的な存在で、そして優しく見守る。校長に町の落書き掃除を指導するように言われるけれども、子ども達が自発的にやるように誘導していくのがとてもいい。朗らかな表情で、寛太が上手くやっていくのを見て涙する。寛太の作った泥団子の品評会をするシーンが面白かった。
杉村春子が寛太の母役で、優しい母親。寛太が友達に支えられる度によく泣く。そして寛太の卒業式で大号泣している姿に見ている方も涙を誘われる。

宮川一夫のカメラワークが上手い。校庭のロングショットを引いていくと、窓から眺める先生達のショットになったり、風景を写していたカメラが動くと、人物の会話に移ったりするのが良かった。編集のテンポも良くて、ディゾルブのテンポ感、クローズアップの入れ方が上手いと思った。
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