八咫

新少林寺/SHAOLINの八咫のレビュー・感想・評価

新少林寺/SHAOLIN(2011年製作の映画)
4.1
すっっっっごい良かった!!!!!
仏教に馴染みのある一般的な日本人である私としてはとても楽しめた。もし同じ題材だとしてもこれが教会とかモスクとかだったらまた印象変わってたんだろうけど。少林寺の美しさとか、そこに生きる僧侶たちの美しさとか。小坊主もすっごく可愛いの。炊事係のジャッキー・チェンが良いスパイスを効かせてるし、方丈(少林寺のトップ)がまるで仏のように侯杰(アンディ・ラウ)を受け入れるのも自分が許されてるように感じてしまう。
仏門に照らされた方丈の様々な金言が身に染みる。
アクション映画ではあるけど、仏教への敬意を決して忘れずその信念に基づいて脚本が練られているなと感じる。所々うるっとくるのは、愚かでしかない人間の、それでも改心の機会を与えられそれで以て相手を改心させようとする生き様が描かれているから。物語は単純かもしれないけど、それをそうとは感じさせない真っ直ぐな視線がそこにはあって唯のアクション映画ではない所が素晴らしかった。むしろ仏教への関心が寄せられる。方丈たち僧侶の言葉や振る舞いに救われた視聴者は多かったんじゃないかな……。

浄覚(侯杰)の最期が自分を陥れ娘を奪い、同門の僧侶たちを殺した元部下を助け、そして仏様の手の上で息を引き取る……ともすればわざとらしさを感じてしまいそうになるこの演出を、最高の画にした演出が素晴らしい…。

方丈が即身仏のように手を合わせながら死んでいったこと。村人を迫り来る軍人を抑えるために決して門を開けさせまいと死んでいった僧侶。その死に様が高潔すぎた。

侯杰が疑心暗鬼になって義兄である上司の息子と自分の愛娘を婚約させるシーンで、義兄が「お前にやったとしてもいずれ私の息子になる」という発言がある。ここからこの時の中国は日本のように、女が男に嫁ぐ、という感覚はないのかな?とか、侯杰の娘の名前が勝男(ショウダン)と、男と名に冠していたりとか、ここらへん詳しい方がいたら是非解説してほしいな。
あと多分これ公開から数年経たずにツタヤディスカスで観てる記憶が…。


恐れを抱くから人は惑わされる
澄んだ心に平安は訪れます

”生まれし時は喜びに満つれど
人の命の はかなきことよ
この世に生を受けねば
悲しむこともあるまいに”
南無阿弥陀仏

”形あるものは全て虚妄なり”

寒いから体を動かす

人生は経験と修行の積み重ねだ

金と泥どちらが役に立つ?
種を蒔くなら?泥の方であろう
皆何かの役に立っているのだ

かつて犯した罪は すべて
欲や怒り そして無知によるものです
邪念は煩悩を生む
正念は煩悩を払う
邪念 正念もなければ
清らかな無の境地へと至る
何事にも とらわれず
執着を捨ててこそ
真理と向き合える

過ちを知り改心する者は勇者です

人生とは縁だ
縁に従えば幸せになれる



脚本 4
美術 4
演技 4
演出 4
チープ感のなさ 4
満足度 4
金言が沢山 5
八咫

八咫