こたつむり

ブギーナイツのこたつむりのレビュー・感想・評価

ブギーナイツ(1997年製作の映画)
3.6
♪ SURRENDER 過ぎ行く時のなかで
  俺は何を求め彷徨うんだろう?

再鑑賞…ではありませんでした!
『フル・モンティ』と勘違いしていました!
「いつになったらストリップクラブで働くのかなあ」なんて待っていましたが、完全に別の映画でした!

もうね。
自分の記憶力に自信が持てなくなります。
僕は僕なのか。僕じゃないのか。それすらも分かりません。もしかしたら、僕がヒュー・ジャックマンの可能性だってありますよ。うは。

ただ、そんな中で間違っていないのは。
本作がポール・トーマス・アンダーソン監督の出世作であること。ちなみに仕上げたときは齢26。うへえ。マジですか。そんなことを感じないくらいに堂々とした筆致でした。

何しろ、栄光と転落を丁寧に描いた群像劇。
人生の酸いも甘いもかみ分けていないと説得力がないのですが…足元が揺らぎそうな緊張感も含めて“リアル”が感触で伝わってくるのです。どんだけ達観した20代なんですか。天才ですね。

また、分かる人には分かるネタが散見されるのも口角が上がります。題材が題材だけに未成年はお断り!と最初から突き放しているのも潔い姿勢。本当に見事です。

あー。
これで僕がスタンスを間違えていなければ。
きっと、もっと、ググっと面白かったはずなのに。「ストリップクラブはまだかー」なんて考えていたばかりに。魂がよそ見をしていて面白さを万全に噛み締められませんでした。あー。

やっぱり、映画は作品だけで完結しないんです。観客が受け止めて、初めて映画は“閉じる”んです。

そう考えると。
世間一般的に「駄作」と呼ばれている作品も、観客次第で「傑作」になるかもしれないんですね。たぶん『デビルマン』だって面白くなるはずなんです。たぶん。

まあ、そんなわけで。
70年代から80年代を舞台にしたポルノ映画の栄枯盛衰。題材は特殊ですが内容は普遍的だと思いますので、違いが分かる大人にオススメ。
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