トリコ

イレイザーヘッドのトリコのネタバレレビュー・内容・結末

イレイザーヘッド(1976年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

カルト映画になるんでしょうね。
それ以外に表現しようがないような。。。
心理的に恐怖や不安を煽るシーンが多いのでホラー寄りの映画になるんだと思います。
ストーリーはあるようなないような。
どうせ予想した所で外れてるんでしょ?と思ったので、途中から意味を追う事は止めました。
映像の仕掛けにひたすら驚き、
何らかの意図を持っているであろうインパクトのある描写やノイズ音に不安に駆られ、
次に何が出てくるのかヘンリーの表情の変化に緊張し、
思いっきり気持ち悪い映像に恐怖を感じ、
唐突過ぎる展開とテンションにちょっと笑い。
そんな感じで観た映画でした。

これで90分持たせてしまうんだから、普通に凄いよな。と思いながら。
退屈ではなかったですね。
むしろ緊張感の張り詰めた時間だったように思います。

表現によっては頭のおかしい映画になるのですが、デヴィッド・リンチが変人のままにこの映画を作ったのか?というとそんな気はしないです。
後々に作る映画の評価もあるから感じるのかもしれませんが、笑わせよう、怖がらせよう、びっくりさせようという意志の元にバランスの取れたギリギリの映画を作ったような。
むしろ常識を持っているからこそ、ホラーにも、スプラッタにも、空想にも極端に寄りすぎず、一応は多くの人に届く映画に仕上げられたような。

それにしても、恐怖シーンの盛り合わせのように、映画の中で人を怖がらせる表現ってこんなに多いんだな。と感心して観ていました。
怖い、不気味、不安、目を覆う。
映像や間や台詞や音や、そして表情の変化や、品評会のように羅列され、圧倒された時間でした。

一応、ストーリーも視聴後に軽く確認しました。
21歳で恋人が妊娠し、結婚、子育てをしたリンチの実体験に基づく空想なんだとか。
そう言われると、ひたすら判る。と感じました。
まだ父親になりたくないのになってしまい、おまけに意思があるのかないのか判らない赤ん坊に日常を奪われ、妻もストレスが溜まっていく恐怖。
そしてアメリカ人でもこうなのか?と思いながら、父親一人に育児を任された時の絶望感。
ラストまで行ってしまうと、リンチそれはダメだろ!と思いますが、こんな子育てのイライラや恐怖や先の見えない感、そして男親の無力感をテーマにしてしまう辺りに、やっぱりリンチの常識を意外にまともだと感じたりもします。
トリコ

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