イチロヲ

暗殺者の家のイチロヲのレビュー・感想・評価

暗殺者の家(1934年製作の映画)
4.0
スイス旅行にやって来た裕福層の家族が、イギリス諜報部員の機密情報に触れたことにより、暗殺団から命を狙われてしまう。「知りすぎた家族」の巻き込まれ騒動を描いている、サスペンス映画。

「原作もの」ではなく、オリジナル脚本で大ヒットを記録した作品。ヒッチ特有の巻き込まれ型が確固たるものとなった、記念碑的作品とも言われている。1956年度「知りすぎていた男」は、本作のセルフ・リメイク。

「場の移動」とハイセンスなユーモアが随所に散りばめられており、緊張と緩和の連続性が気持ち良い。また、暗殺団のリーダー役を演じるピーター・ローレが、唯一無二とも言える個性を発揮している。

「知りすぎていた男」に比べると、若干の稚拙さとマヌケ感が生じているが、見どころがコンパンクトにまとめられているため、本作のほうがスッキリした印象を受ける。本作は「瑞々しさ」を楽しむための作品、リメイクは「いぶし銀」を楽しむための作品。
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