天豆てんまめ

ブラックブックの天豆てんまめのレビュー・感想・評価

ブラックブック(2006年製作の映画)
4.0
この映画はかなり面白い!ポールバーホーベン作品でも筆頭にくるくらい。戦争映画としてもスパイ映画としても恋愛映画としても映画としての娯楽作品としての醍醐味とスリルに満ちている。戦争とスパイと愛と裏切り。マリアンヌやラスト、コーションに近いだろうか。

1944年ナチスドイツ占領下で美しいユダヤ人歌手がユダヤ人狩りから逃げようとするが両親や弟をナチスに殺されてしまう。そこから彼女は名前も変え、髪もブロンドにしてレジスタンスのスパイとなり、美貌を活かして諜報部トップのドイツ将校の命を狙うが彼を愛するようになってしまう。

なんといっても復讐のヒロインでもあり主演のカリスファンハウテンが一度観て!というくらい存在感が素晴らしい。命懸けの逃亡シーンからナチスへの鬼気迫る復讐への怒り、愛してはいけない人を愛する葛藤、出し惜しみ皆無の妖艶な魅力で、復讐遂げる為には美貌も歌声も全て使う。まさにポールバーホーベンが惚れ抜いたヒロインとして随一では無いだろうか。

第二次世界大戦中、6歳のバーホーベンはオランダにてドイツ将校に殺された死体の横を歩いたと語っているが、ハリウッドから原点のオランダに戻り、オランダ映画史上最大の製作費を投じた彼の渾身の作品は戦争映画としての枠を超えて彼らしいエンターテインメントになってると思う。