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ナインスゲートのNMのレビュー・感想・評価

ナインスゲート(1999年製作の映画)
3.3
サスペンスでもミステリーでもホラーでもあるがそれが好きでなくても観られる不思議な作品。その独自の雰囲気を楽しむ映画。悪魔やら魔女やらに興味がなくても問題ない。大げさなミステリー感を出すことなく、独特の静かでシュールな世界観。本の謎も別に難しくなく見ていれば分かるので観客側に謎解き等は必要ない。
特に制限なく誰にでも薦められる。2時間越えだが飽きないし、小分けにして観てもすぐ世界観に入れる作品。一度観て損はない。

冒頭は特に、ポランスキーワールドが始まったな、という感じがする。このシュールな雰囲気。一気に期待。
個人的に、車椅子の老人、その暴走というのはポランスキーの名刺代わりという印象。

しばらく普通のちょっとお洒落な映画。全員まとも、むしろクールでリッチな人々。特に依頼人は学者で富豪らしい。

そして突然の狂気。このタイミングにはびっくり。一気に誰も信じられなくなる。
そもそもこの依頼の目的さえ疑わしくなってきた。もしかして別の目的が?
主人公以外はみんな、人間なのかそうでないのか、味方なのか敵なのか絶妙な雰囲気を持つ。

人が死ぬとき、命を狙われるとき、狙うときなどの描写がさっくりと潔い。余計な小細工はなく、とにかく全力で全速力。逃げ隠れるするつもりが一切ない人間はこういう行動の仕方になるのだろう。
アクロバティックな逃亡シーンはなく、あくまでストーリーに集中できる。そういうスリルが作品の売りではない。
そんな作りがシュールでポランスキーらしさを強めている。ハリウッド的展開を期待する人には向かない。

主人公は命の危機に遭っても比較的冷静。平凡に長生きしたいような性格ではないからだろうか。
もちろんこういう不可解な謎を追う時は無謀な性格の設定でないと話が進まない。

ところでどうしても新しい眼鏡が欲しくなった。終始お洒落な眼鏡が目に付く。
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