チェさん

三月のライオンのチェさんのレビュー・感想・評価

三月のライオン(1992年製作の映画)
3.2
「愛が動機ならやってはいけないことなんて何ひとつ、ない」

キャッチコピーは素敵だけど、思ったより背徳感のある恋愛ではない気がした。
2人の間に干渉してくる他人はいないに等しいし、こういう関係で1番の障壁になるだろう親も出てこないし、終始2人の世界で淡々と進んでいく中で、2人の中で勝手に湧く罪悪感らしき何かを、きれいな映像を通して婉曲的に見せられるだけといえば、だけの映画。

ナレーションとかで多くを語らないのは良いけど、イメージの羅列って感じでアートだなあとしか思わない。もっと人の営みってシームレスだし、多くを語らないにしても、もっと映像で明確に伝えることはできる気がする。
文学だったら好きだけど、映画はもっとアカデミズムな前提や推測なしでも伝わるものが好きなんだなあと確信させてくれた。

でも、全部をクーラーボックスに入れて、引っさげて歩くのはとても好き。
チェさん

チェさん