anko

オーディションのankoのネタバレレビュー・内容・結末

オーディション(2000年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

うむ。怖いっちゃあ怖い。

私は日頃からホラー映画を愛してやまない。ホラーは怖がって見る、それがホラーに対する礼儀だと信じている。「こんなのぜんぜん怖ないし。」なんて誰にでも言える。そして、そうなってしまったら、多分そいつはセックスすらつまらなく感じる、死体と紙一重人生なんだろうと同情することにしている。
私はホラーを愛しているんだと思うんだ。

そして、三池崇史も、石橋凌も、なんなら村上龍も、好きだ。
この映画は駄作ではないんだろう。だけど、傑作でもない。
何が足りてないんだろう。
私の中で「よっしゃー」と、引き当てた感が来ないのは、なぜだ。
いろいろ気持ち悪いのを見過ぎてしまった私のせいかな?

現実と幻想の入り混じる加減が、ちょっとばかり多すぎるのかな。も、もう夢オチはええやん、のギリギリまで被せてくる。
犬サヨナラフラグも早めだし。
アサミの語る話は、少しずつ本当が混ざる作り話てのはゾクリとするんだけど、それならもう少し、後ちょっとでいいから、「アサミのリアルな生活」を見せられた方が怖かった気がするのだ。

今、アサミはどうやって生活してるの?←この部分に荒んだきみ悪さを持ってくるとか。
それがないと、なんだかアサミという存在そのものが幽霊みたいに幻想的になってしまって、怖さが落ち着いちゃうのだ。おしい。

少し古い映画だから、所々、「ぷ。」てなっちゃうファクターがあって、例えば一回だけ手ェ出しちゃったブスの人とか、「もうお前には頼まないよっ」のケンカとか、ズタブクロの犬男がエサもらって「おいひい」みたいなこと言うとか、アサミが着てる服が変とか、針そこまで痛そうじゃないし結構動けるやんとか、息子の怖いくらい真っ直ぐ育ってる感じとか。なんかチグハグで、面白い。いや、チグハグと言えば、石橋凌はマジメに男手一つで子育てしてきた中年を演じるには色気がありすぎる。だから足切られても「おっさん災難だな。」と思う気持ちが薄まってしまうのは…ただの私の先入観かもしれないな。

綺麗な女と恐怖、って、よっぽど汚いとか荒んでないと、ただのトリップムービーみたいになりかねないんだなと考えたりした。
おしい。
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