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姿三四郎のtakのレビュー・感想・評価

姿三四郎(1943年製作の映画)
4.0
「姿三四郎」は今回初めて観た。レンタルしたDVDに収録されていたのは、戦時中に焼失した部分を字幕で繋いだ79分のヴァージョン(1952年再上映版)。こんなに面白い映画だったのか。柔術流派の争いは、僕ら世代が慣れ親しんでいるカンフー映画みたいだし、老練の名人との対決、そしてクライマックスの荒野の決闘と見せ場が続く。初公開は戦時中だけに、表現に制約も多かっただろうが、主人公の成長と活躍は今観ても引き込まれる。

師匠宅の池で、月の光の下で美しく咲く蓮の花を見て、強くあることの意味を悟る場面の美しさが印象的。ジョージ・ルーカスが黒澤明ファンだったため、「スターウォーズ」は影響を受けているのは有名な話。ルークの衣装が柔道着ぽいのは「姿三四郎」へのオマージュかもしれない。また、師匠の住まいの前に池や沼があるのも、ヨーダと会う惑星ダゴバとの共通点。これは深読みしすぎかw

黒澤明監督作でアクションが多い傾向のものを嫌う人もいる。人それぞれに好みがあるのだから、言わせとけばいいこと。黒澤作品のアクション場面の見せ方の巧さや工夫は、他のシリアスな作品でも活きてると思う。それに世間でちゃんと評価されて、映画界には多くのフォロアーがいるんだから。暗ーい「どん底」よりはサスペンスの「天国と地獄」が好きだし、徹底した娯楽作の「隠し砦の三悪人」なんてめちゃくちゃ好きだ。それでいいじゃないか。
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