変態性ってこんなにも切実なものなんだなというのと、こんなにも切実だからこそ変態的なんだな、と思った。
終始綺麗な映像で突拍子もない変態チックな内容が描かれていて、とにかく強烈な印象を残す良映画。
どこにいてもなにをしていても母親という鎖で繋がれていて、長いこと鎖に繋がれ続けた結果、その状態に愛や快楽を見出すようになった、ストックホルム症候群のような感じ?
そして、自分はそういうふうにしか快楽を得られない・幸せになれないという歪んだ自己認知に陥ったのかな。
閉鎖的な世界では自分の異常性だけが加速していって、ワルターを通して外界と接続した瞬間、爆発的な感情の発露が起こる。これは望みを叶える好機なのだと、要求を事細かに書き連ね強要していくエリカはただただ自分の幸せを赦してほしくて受け入れてほしくて必死だったのだと思うと苦しくなる。(それをワルター側ではとんでもねえ女だったな、くらいに流していそうなところがまた辛い)
ナイフを突き立てることの意味は、愛されたい満たされたいと渦巻く欲求に支配される自身を、唯一の愛のようなものであったはずの母親という鎖を断ち切るというようなことだったのかな。