佐藤克巳

生さぬ仲の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

生さぬ仲(1932年製作の映画)
4.0
成瀬巳喜男監督の、遅咲きの助監督の下積み10年を経て、短篇から長編監督に移った初年度の親子の情愛を描いた佳作。ハリウッド女優で成功を収めた岡田嘉子が帰国し、ヤクザな弟分結城一朗が出迎え6年前に残した乳飲子を捜す手助けをする。一方、破産し牢獄の身となった夫奈良真養との邸宅を売却し市井に身を落とした継母筑波雪子は、百貨店店員を生活の糧とし深い愛で育てた我が子小島寿子と平和な生活を送っていた。ある日、祖母葛城文子が、我が子を岡田の元へ連れ去ると、満州浪人で夫の親友岡譲司が仲立ちを買って出る。岡田は子が馴染まず苦労して、財産を子に譲り再び訪米の途につく。脇役だが近所の子突貫小僧、結城の子分阿部正三郎のズッコケが場を和まし、小津風の映像テクニックが随所に。
佐藤克巳

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