佐藤克巳

素晴らしき日曜日の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

素晴らしき日曜日(1947年製作の映画)
3.5
廃墟化した東京で歓楽街だけが栄える矛盾の中、戦時中からベーカリーカフェを経営する夢を語り合っていた若いカップル沼崎勲、中北千枝子は、戦後の惨めな生活に捥がく。楽しみにしていた日曜日も、二人合わせて35円じゃ、饅頭弁償、動物園、演奏会はダフ屋に阻まれ、カフェでは赤字、が皮肉にもこの事が沼崎の元気を呼び起こし、有名な野外音楽堂の場面となる。中北が映画館の客に応援を乞い、沼崎が指揮棒を振ると「未完成交響曲」が奏でる。正直、矢鱈と進行が鈍い、映像に華がない、黒澤明監督にしてはスッキリ感にも乏しい青春映画の凡作。なお、同年ちゃっかりラストの場面を頂いた師匠山本嘉次郎の「春の饗宴」の方が遥かに成功している。
佐藤克巳

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