このレビューはネタバレを含みます
シリーズ全体を通して思うことだが、序盤は一応「どんでん返し」と「謎解き」にある程度比重が置かれている。それが「不死鳥の騎士団」や「謎のプリンス」からなくなっていくため分かりにくい物語となっていく。
その最序盤たる本作は、学校の中にヴォルデモートの手下がおり、それが誰かという謎解き要素がある。さらに、死んだと思われていたヴォルデモートが先生のターバンに隠れて存在しているなど意外性のある物語となっている。
また「透明マント」やクィディッチの試合、チェスやケロベロスとの闘い、有名な組分け防止のシーンなどオチを支えるエピソードも考えられており、面白い。
しかし、賢者の石という題の割には、賢者の石のエピソードやそれに纏わる逸話、重要性は語られず、物語を通してもほとんど出てこない。出てきても、シレッとハリーが獲得し、校長の手により壊されて何事もなかったかのように消えていく。
この物語は言うほど「賢者の石」が題材だったのだろうか。というか、ヴォルデモートは本当に「賢者の石」を欲しがっていたのだろうか。物語を最後まで通してみると疑問だ。