ぱいじ

メリー・ポピンズのぱいじのレビュー・感想・評価

メリー・ポピンズ(1964年製作の映画)
1.9
翌年の『サウンド・オブ・ミュージック』の完全下位互換。終盤までの物語に一貫性・必然性が全く無いので、本当につまらない。「歌・ダンス」をとにかく見せつけたくて、それに無理矢理物語を付け足したような出来。どうやら私にとってミュージカルとは、「物語展開上で揺れ動くキャラクターの心情の視覚的発露の手段」として最も効果的な場合にのみ鑑賞に耐え得る存在らしい。つまり、まず物語ありきの、飽くまで手段としてのミュージカルでないと受け付けないのだ。ミュージカルがそれ以上の存在として扱われている作品は、おそらく全て嫌いなのだろう(『サウンド・オブ・ミュージック』は、まさに私の要求にぴったり応えてくれていたので、好きだ)。

私と同じタイプの人にとっては、完全にただの子供向きの映画として映るだろう。柔軟な子供と頭の固い大人という図式だが、初めからお父さん側に感情移入していた。というか、メリーポピンズはじめ子供達がただの快楽主義者にしか見えないのだ。「真面目」対「お気楽」という単純な二項対立ではなく、その弁証法的な昇華を描いていたら評価は一気に上がっていた。