Qちゃん

アメリカ上陸作戦のQちゃんのレビュー・感想・評価

アメリカ上陸作戦(1966年製作の映画)
4.3
TVでやってたから適当に観出したら、面白くて観るの止まらなくなった。

なんでこれDVD化してないんだろ…。
最高なんだけど!
録画しとけばよかったと本気で後悔している。

冷戦中にソ連の潜水艦がアメリカのグロスター島に座礁し、潜水艦を沖に引き出すためのボートを手に入れるべく乗組員9名が上陸。
こっそり済ませるつもりが、あっという間に島中にロシア人が攻めて来たと噂が広まり…というコメディ。

色んなシーンがいちいち面白い!
あんまり悪気がなくて丁重だが全てが空振りしていて、真面目に一所懸命なロシア人水兵たちがめちゃめちゃ可愛い!
勝手に噂が広まり続けてパニックに陥る住民たちの様子は滑稽で笑えると同時に、集団ヒステリーの怖さも少し感じたり。

緊迫する場面と和む場面、笑う場面のメリハリもとてもよく付いている。

また、コメディやシリアスに加えて、ロシア人水兵アレクセイと彼を信じて助けてあげたアメリカ人女性アリソンの、国境を越えたピュアな恋も描かれていて、とても素敵。

二人の恋愛にもみられるように、この映画は話が面白いだけでなく、映画全体に込められた平和共存への心からの願いが伝わってきていい。
冷戦の最中にこれが作られたのは、本当に素晴らしい。
住民の仲間割れに途方に暮れて警官の一人が言う「なぜ仲良く暮らさない?」は、映画のテーマそのものだ。
相手の意見を聞く姿勢と、言葉の壁を超える努力でコミュニケーションを取ることで、不信や偏見を減らして、人々は仲良く共存していけるのだと、主人公ウォルト・ホイテッカーの一家と上陸した水兵たちは示してくれている。

一家と水兵たちの関係に感化されていく住民たちの様子や、潜水艦に残った組と住民たちの緊迫した状態からエンドに至るまでの流れも、出来る限り自然に作られていて、陳腐な感じがしない。

映像も綺麗で、
海辺の道にドアの開いた空色の車が止めてあって、そこに自転車に載った男性が来る場面や、
馬が海の見える黄金色の草原にいる場面、
アレクセイとアリソンがホイテッカーさんちの末娘を挟んで浜辺を歩くシーンなどは、目を見張るほど美しい。

最後まで目が離せなかったし、観終わってからも、「良いもの観た~~!!」と清々しく思えた。
これ、ほんとにDVD欲しい。
出ろ!出てくれ!!
Qちゃん

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