明石です

キリング・フィールドの明石ですのレビュー・感想・評価

キリング・フィールド(1984年製作の映画)
4.6
過去鑑賞。マイク・オールドフィールドの作曲した作中曲がとんでもなく恐ろしい出来栄えだっことを思い出す。あのなんとも言えないぶわんぶわんした感じの酩酊感ある曲調の中に、突然鈍器で頭を殴られるみたいな驚きが散りばめられてる。作中の風景の耐えがたい凄惨さも相まって、この映画の音楽はすんごい怖かった記憶。耳に残る不協和音って最悪(最高)ですね。

とはいえジャケットにもなってる、主人公2人が〇〇する作中で一番美味しいシーンを『イマジン』に持ってかれてるけどね。オールドフィールド氏の無念を画面越しに想像しつつも、なんだかんだ目頭が熱くなってしまう。戦争のない世界を想像してごらん?難しくないだろう?という歌詞をこのラストで流すのずるい。あと序盤に流れるウィングスの『バンド・オン・ザラン』も懐かしく、これまた胸熱ですね。映画の中で(この頃にはもう亡き)ジョンレノンとポールマッカートニーを共演させるとは素晴らしく粋な計らい!!

作品自体も全編にわたってずしんとのしかかる重み。とりわけ胸が痛くなるのが、国家ぐるみの洗脳によって権力を持たされた10歳前後の少女の気分で(農作業に従事する男の手を見て、汚れてないじゃない、という目を向けて)その場で処刑されるシーン、怖すぎるよ。その一連の流れが字幕なしで綴られるのがさらに冷ややかさを煽る。これが数十年前のカンボジアで現実に起きてたことと思うと余計に、、思想の貧しい人間が権力を握ると、いかに国が貧しくなるかということをまざまざと見せつけられた感じですね。クメールルージュを題材にとった作品では、個人的に『フナン』と並んで外せない、今後も見ていきたい映画です。
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