真田ピロシキ

バニシングIN60”の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

バニシングIN60”(1974年製作の映画)
3.8
正直に告白します。前半は車に興味がなければ所詮こんなもんかと思ってロクに見てませんでした。高級車見せられても知らんし。だから主人公のキャラクターを全然把握してない。話の目的が何なのかすら聞いていない。1.5倍速で消化試合。

それが後半のカーチェイスが始まると一転。よくこんな狭いところ走れるなあとビビリドライバー丸出しの感心から始まり、コックピット視点の臨場感、土煙をモクモク上げるドリフト、ベコベコになりながら走り続けるおクルマの姿でドライビングゲームモードにギアチェンジ。クライマックスの追跡車両数は手配度最大のニードフォースピードか。バーンアウトパラダイスさながらにマルチアングルとスローモーションを駆使されたジャンプのバカバカしくも痛快さと言ったら。これでゲームオーバーとはならないのがゲームよりもブッ飛んでる。味のある警察無線&ラジオやぶち倒されるために存在する鉄柱、ちょっと小細工しただけで追跡撒けるのも非常に現代のドライビングゲーム的で楽しい。車に興味がなくてもこんなにアガるのだから車好きなら最高なのでしょう。

最初に書いたように話は追っていませんが真面目に見てたとしてもそこはあまり変わらない気がする。それでも画面への集中力を持続出来たのは製作監督脚本主演まで全て自分でこなしたH・B・ハリッキーという人のガチを信じさせる浪漫?儲かる儲からないより俺はこれが好きなんだからよーとニッチな所を攻める。そういうの好き。何に置いても多くの人間にウケる事を目的とした触り心地の良い製品に反発を抱くようになった昨今、こういうカクカクした粗削りさを出来る限り尊びたい。

このガチイズムを最近で感じたのはミッションインポッシブル フォールアウト。トム・クルーズ先生も莫大な私財を投じてこんな俺様映画をやって更なる伝説の高みに登ってくれたら嬉しい。